綜合警備保障(ALSOK)は7月29日、警備ロボットの開発ならびに販売で培ったノウハウと技術を用い、人が多く集まる屋内施設向けに電子看板(デジタルサイネージ)を搭載したインフォメーションロボット「An9-PR(アンナインピーアール)」を開発、2009年10月より販売を開始することを発表した。
An9-PRは、ボディに硬質スポンジと樹脂を用い、丸みを帯びたデザインを採用。本体上部に電光掲示板を1週、胴体部分正面に19型のタッチパネルモニタを、背面の左右に12型のLCDを三角形を描くように配置、正面タッチモニタの上部には赤外線通信用ポートを、手元には非接触カードリーダ(Felica)を搭載している。
記者会見にはALSOKに所属する女子レスリングの吉田沙保里氏や女子柔道の塚田真希氏らも参加、An9-PRを使った実演デモを見せてくれた |
カメラで認識した画像をモニタ上で加工することも可能 |
店舗情報などは携帯電話に転送 |
正面のタッチパネルは、音声認識と合わせて導入施設のフロア案内などを実施できるほか、後方2画面と電光掲示板を活用した広告・ニュースなどの配信も可能であり、自動走行ができるため、自ら移動しながら決められた停止場所ごとの情報提供「動く電子看板」として活動することが可能だ。
また、人に触ってもらうことで動くのではなく、自動走行、各種センサ、顔検出機能などの技術を用いることで、ロボット自ら人に近づき、コンテンツの提供も行うことが可能である。
搭載されているセンサ各種は、何かに衝突した際にAn9-PRの動きを停める「バンパセンサ」、指向性のある赤外線による「距離センサ」、扇形に広がる形で照射され、障害物を検知する「光レンジセンサ」、物体検知用の「超音波センサ」、人体感知用の赤外線による「熱感知センサ」となっており、このほか、頭頂部にパンチルトカメラと天井の位置マーカ認識用カメラが備え付けられている。
一番下の黒い帯状の部分がバンパセンサ、その上の白い帯状のところにある黒い四角が距離センサ、さらにその上中央にある黒い物体が光レンジセンサ。そして青いボディの中央、白い点が超音波センサであり、その上の黒い丸が熱感知センサとまさにセンサの塊となっている |
同社常務執行役員の星野將氏は同ロボットを、同社が2009年3月に発表した「An9-RR」に続く案内ロボット第2弾とし、名前の由来について、「An9は案内の造語、PRはPublic Relationsの略」と説明した。
An9-PRが開発された背景としては、「2006年に警備ロボット"リボーグQ"を発表したが、その利用用途の約半数は案内目的だった」(同)とし、「"案内"もしくは"案内+警備"用途での期待がユーザーの約76%と、案内に対する要求が高く、警備向けと案内向けにシリーズ分けすることを決めた」(同)と語る。
主に商用施設での採用を期待しており、「百貨店や博物館などへの納入を考えている。同市場だけで2000体規模の市場規模を想定している」(同社ブロードマーケット営業部長の八木雅人氏)と語る。すでに、従来の"警備+案内"機能を搭載したロボットを納入している「浜松技術館が2010年3月までに入れ替えを決定しており、そこが第1号の納入となる」(同)という。
バッテリは実績のある鉛バッテリを採用。走行速度は最大時速4kmで、場所に応じて選択することが可能となっている。連続走行時間は約1時間で、バッテリの残量が少なくなると自動的に充電スタンドに戻ることも可能なほか、予備バッテリを用意しておくことで、充電時に付け替えての運転も可能。
価格は本体のほか、充電装置、監視用PCとセットで1,043万円(税別)、保守費用は5年間で390万円(税別)となっており、リース利用とした場合、5年リース(利率1.88%)とした場合は月額22万2,300円(税別)、保守費も月額6万5,000円(税別)となり、「月額20万円代で利用することができる実用ロボットの提供が可能となった」(同)とする。
同ロボットの販売は2009年10月開始を予定しており、同社では発売3年間で50台、売上5億2,000万円を目指すとしている。