トレンドマイクロは、新たにファイルレピュテーション技術を用いた、中堅から大企業向けのエンドポイントセキュリティ製品「Trend Micro ウイルスバスター コーポレートエディション 10」を発表した。9月10日より受注が開始される。

「Trend Micro ウイルスバスター コーポレートエディション 10」では、従来のパターンファイルによるチェックとともに、クラウドサービスとクライアントPC/サーバが連携しファイル検索を行う新機能「スマートスキャン」を併用することができる。スマートスキャンでは、ハッシュコードを用いてそのサイトが安全かどうかを随時サーバに問い合わせ、不正プログラムか否かを判断するファイルレピュテーション技術を用いる。これにより、クライアントに配信するパターンファイルのサイズを圧縮することが可能だという。

ハッシュコードを用いてクラウドサービスとクライアントPC/サーバが連携し、ファイル検索を行う新機能「スマートスキャン」

社内サーバでの「スマートスキャン」

トレンドマイクロ 代表取締役社長兼CEO エバ・チェン氏

同社の代表取締役社長兼CEOのエバ・チェン氏は、「トヨタのハイブリッド車のようなしくみ」と表した。

参照するサーバは社内に設置する「ローカル スキャンサーバ」のほか、オプションでトレンドマイクロのクラウド上のサーバを参照して行う仕組みも用意する。これは、外出先でのチェックを想定したものだ。

エバ・チェン氏は「最近では2.5秒に1つずつ新たな不正プログラムが発生している」と述べ、パターンファイル方式では、1時間に1500個の速さで増え続ける不正プログラムには対応できないと指摘した。

トレンドマイクロ プロダクトマーケーケティング本部長 九里禎久氏

またプロダクトマーケーケティング本部長の九里禎久氏は「パターンファイルの更新時には、ネットワークの帯域を圧迫するスパークが発生し、企業はそれに合わせたネットワーク投資を求められている」と語り、パターンファイルのみでの対応のデメリットを強調する。

この併用方式により、更新するパターンファイルのサイズを10KB程度まで圧縮できたという。クライアントの側ではパターンファイルでのチェックのほか、あやしい動きを察知するヒューリスティック技術を用いてチェックし、最新のものについては、ファイルレピュテーション技術で対応する。これによりパターンファイルの更新の頻度を減らすことができるという。

この技術は、SOHO向けの製品にも取り入れ、近く新製品の発表を行うという。

「Trend Micro ウイルスバスター コーポレートエディション 10」では、このほか、セキュリティポリシーに合わせ、USBメモリ、ディスク、フロッピー、ネットワークのアクセス制御を行うデバイスコントロール機能や、新たにMac OS用のプラグインも用意される(対応は今年の第4Qになる見込み)。

「Trend Micro ウイルスバスター コーポレートエディション 10」の新機能

また、今年の第4Qには次世代OSのWindows 7およびWindows Server 2008 R2にも対応する。

1年間のスタンダードサポートサービス料金を含む1000クライアント利用時の参考価格(税別)は、1クライアントあたり1900円、トレンドマイクロのクラウド上サーバを参照するWeb Security Serviceオプションは1,420円となっている。また、サーバに対するチェック機能も有するスイート製品は、1クライアントあたり3300円となっている。