ビーブレイクシステムズは7月24日、システム業界における景気動向をまとめたレポートを発表した。同社は自社で手がけたシステム案件などをもとに現場の目線で分析したシステム業界の景気動向を定期的に発信している。

同レポートでは、「景気は底を打った」という報道も一部あるが、事業環境はまだ不透明であるため、事業の一部を清算する企業が出始めているとしている。清算の対象となっているのは、今回の景気悪化の影響で一時的に赤字になった事業ではなく、戦略的な事業ながら以前より採算が取れていなかった事業が多いとのこと。同社では、ここ数ヵ月の厳しい経済状況と今後の不透明な状況を鑑みて、より採算の合うビジネスへシフトし、売上を伸ばしていきたいという経営判断がなされているのではないかと推察している。

また、政府の景気対策の影響もあり官公庁関連の案件が増加している。しかし、入札に参加する企業も多いため、激しい競争となっており、ある官公庁のシステム開発案件の入札では、20社程度の中小企業が参加していたという話もあるという。これまで企業のシステム開発にのみ注力していた中堅・中小のシステム開発会社が官公庁関連の案件にも参入を図ろうとしていると、同社では分析している。

企業のシステム開発プロジェクトは、一部は終了しているところもあるが、全体的に見ると継続しているケースが多いとのこと。ただし、価格面では厳しい状況にあり、大幅な値下げ交渉が行われることも少なくない模様。

また、システム開発の現場でしばしば見られる階層構造によるプロジェクトでは、仲介手数料の省略がエンジニア単価の値下げと同様の効果を生むことから、上位階層の会社が中間階層の会社を介さず下位階層との会社と直接契約を結ぶということが行われている。

この方法はコスト削減とコンプライアンス対応の観点から以前より行われていたが、これまではプロジェクトが終了して次のプロジェクトの開始時に実施されることが一般的だった。しかし最近では、プロジェクトが継続している中でも行われていることが特徴的であり、同社では、「昨今のコスト削減意識の高まりが影響しているのではないか」と考察している。