Windows 7の導入はTCO削減の観点から有効との試算を、調査会社のアイ・ティ・アールがまとめた。同試算によると、モデルケースにおける3年間のコスト削減効果は65%・約2,300万円に上るという。

同試算ではWindowsクライアントPCを1,500台保有する製造業をモデルケースとし、セキュリティ関連の機能およびOS自体のセキュリティ機能について6つのシナリオを設定してコストを比較した。

試算にあたっては、公的機関発行の統計データおよび同社が保有する調査データを基本情報として利用している。

Windows 7での新機能および機能強化したDirect Access、UAC、BitLocker To Go、AppLocker、MED-V(Microsoft Enterprise Desktop Virtualization)、OS自体のセキュリティ性能の6つのケースにおいて、Windows XPとWindows7が同等の機能を提供するとの前提条件でのコストを比較した結果、Windows 7の導入はTCOの観点から有効だという。

Windows 7に更新する場合(モデルA)は、Windows XPを継続利用する場合(モデルB)と比べ、3年間で65%のコスト削減、金額では約2,300万円の削減が可能との結果が得られた。ユーザ企業が求めるクライアントPC利用でのセキュリティ関連機能をWindows 7が標準装備し、追加投資が不要になることが大きな要因という。

Windows 7のセキュリティ関連6機能を利用した場合の3年間におけるコスト比較(出典:ITR)

また、Windows 7へのOS更新に関するコストを含めた試算においても、モデルAは3年間で7%のコスト削減が可能になるとしている。

OSのバージョンアップに伴うカスタムアプリの改修コストにおいても、Windows 7の利用で抑制できるという。

OS関連コストを含めた比較(出典:ITR)

Office XPのExcelマクロ(VBアプリ)を利用する100台のPCにおいて、Windows 7の仮想環境を利用し仮想的にWindows XP環境を構築する場合と、外部にアプリケーションの改修を依頼する場合(人月単価60万円で6人月と想定)で比較したところ、仮想環境を利用する場合は仮想化機能のために追加のSA(ソフトウェア・アシュアランス)ライセンス購入が必要ながらアプリケーションはそのまま利用できるため、外部に改修依頼する場合と比べて約330万円のコスト削減が可能になるとしている。

Windows 7/XPの機能別コスト比較(出典:ITR)