米Siemens PLM Softwareの日本法人であるシーメンスPLMソフトウェアは7月23日、都内で記者会見を開催し、Siemens PLMのChairman and CEOであるTony Affuso氏が同社の現状の市況におけるコーポレートビジョンとそこから生み出される戦略を、同製品担当エグゼクティブ・バイスプレジデントのCharles C. Grindstaff氏が同社製品の戦略についての説明を行った。
競合以上に評価が高まった2008年度
Affuso氏は、「2008年度の調査結果だが、2007年5月に統合されたUGS PLM Solutions(UGS)に対し、結果として顧客の4割が自社のロイヤリティが高まったと評価している」と同社の取り組みが対外的な評価に結びついていることを強調する。
もう1つ、別の角度でそれを示す意味として同氏は「この1年簡における主要顧客での競合メーカーとの競争において、当社は高い評価を受け、多くの案件で勝利を勝ち取ってきた」と語る。例えば、Volkswagenにおける競争を例にとると、同社のほか3社が参戦、合計4社で争われたという。争われたのは全社的なPDM(Product Data Management)を対象としたもので、競合3社ともに過去にVolkswagenにPLM製品を納入した実績を持っていたが、「当社が結果的に勝ち残ったのは、競合メーカーの製品以上に"Teamcenter"が評価されたため」(同)とする。
景気後退局面だからこそ多くのサービスを提供
では2009年はどうなのか。調査会社の調査によると、全世界のGDPは、2008年1月より徐々に後退し、2008年12月には0%付近となり、2009年に入るとマイナスとなった。「我々は当初、2009年に入れば、景気の後退が収まるものと考えていたが、実際はそうはならず、2月、3月、4月と下がり続けた。しかし、幸運にも5月、6月で横ばい程度となったが、結果は社会の状況が良く表しているとおりだ」(同)とするが、ここでキーポイントとなるのが、「こういった景気後退期においても、Siemens PLMは顧客にさまざまなサービスを提供することができる」(同)とし、「景気後退を脱却するための、プロセスの効率化と生産性向上を手伝うことが現在の一番の目標」(同)であり、その自信を覗かせた。
同社が対象とするのは、顧客のPLM支援として、製品のプランニング段階からあらゆる分野の製品の製造までというすべてのプロセスに対し、Siemens PLMとして環境/機能を提供することで生産性向上、製品ライフサイクルの効率化などを実現するというもの。
これらは、同社の製品の提供により実現されるわけだが、主要製品ラインとして「NX」「Tecnomatix」「Teamcenter」「Velocity Series」の4製品が用意されている。中でも、Technomatixのバージョン9では、製造に向けた企画、製造プロセスにおける生産性向上を最適化によって実現するための機能が組み込まれている。
例えば、自動車の部品が多々置かれているシミュレーション画面上で、ドアフレームを新たに取り付けようとする場合の工程のプランニング、ロボットの溶接点の決定などが容易に決定できるようになったという。
5つの基本要素で高機能、高信頼性を提供
一方のGrindstaff氏は、どういった分野に注力していくのかという点について「顧客の要求を捉え、それに見合った製品構築を実施する」ことと「そうした高品質な製品を低コストで、高機能、高信頼性などを提供すること」という2つのポイントがあるとした。
そのため、同社では5つの項目を基本要素として掲げているとした。以下がその5つの項目である。
- Digital Design Automation
- Knowledge Management
- Holistic(Multi-disciplanary)Approach
- Collaboration Backbone
- IT Sustainability (Evolution)
これらの要素には、エンジニア同士の連携や、実際の設計の前のシミュレーションによる検証の活用などが可能となるほか、設計画面の効率化、各モジュールの有効的な動作の実現などが含まれており、「仮想世界と現実世界をいかに結び付けるかがポイントとなっている」(Grindstaff氏)とする。
また、製品設計におけるバックボーンとして考えた場合、TeamcenterとMicrosoftのOfficeなど他のツールとの連携や、ITの生産性の向上に向けたOracleとの連携なども含まれている。特にIBMとの連携については、「新たに発表されたTeamcenter 8により、DB2やWebSphere、Tivolなどと連携ができるようになった」(同)としており、現在IBMからの認定を進めているほか、Rational製品については、すでに対応可能とした。