中古車売買の大手企業であるガリバーインターナショナルは、業界でもかなり早い段階から積極的なIT投資を行ってきた。そして今回、大規模なビジネスモデルの改革に合わせて、「Google Apps」を使った情報インフラの改革に乗り出している。ガリバーインターナショナルがいかにして情報インフラを変えたのか、その経緯や効果などについて経営企画室 椛田泰行氏に聞いた。

ガリバーインターナショナル 経営企画室 椛田泰行氏

中古車売買の大手企業として知られるガリバーインターナショナルでは、2008年9月頃から大規模なビジネスモデルの改革に乗り出していた。これは、従来の中古車を買い取るスタンスから車全般に対しての関わりを強化、特に車両の販売に軸足を置くというものである。その結果、2010年2月期第1四半期決算の営業利益は第1四半期として過去最高益の27億3100百万円、前年同期比で220%を記録した。

同社が公表した主な要因は、低コストで良品質の車両販売を可能にする独自の買取・画像販売モデル、安心を提供する販売ポリシーの設定で品質保証を強化、新規サービスの拡充、販売提案型の人材育成・教育プログラムによるサービス品質の向上というものだ。もちろんこれらは増益の直接的な要因だが、実は隠されたもうひとつの間接的要因として「Google Apps」を使った情報インフラの改革が大きな影響を及ぼしていたのである。

約10年前の老朽化した情報インフラが課題に

ガリバーインターナショナルは、インターネットで物を売ることがあまり一般化していなかった約10年前に、現車確認なしで車両を販売する「ドルフィネットシステム」を開発するなど、早い段階から積極的なIT投資を行ってきた。しかし椛田氏は「取り組みが早かっただけに、電子メールやポータルサイトなどの情報インフラがかなり老朽化していました」と語る。

椛田氏は、当時中国で事業活動を進めており、そこで情報収集に苦労した経験からコミュニケーション基盤の重要性を痛感。2009年2月に帰国後、すぐにインフラの抜本的な改革を開始したという。

新規情報インフラの候補には、大手企業が提供するいくつかのサービスが挙げられたが、その中で突出した評価を得たのが「Google Apps」だった。理由としては、圧倒的な低価格と費用対効果の高さ、ネットワーク環境さえあればワールドワイドで使える利便性、そして椛田氏自身が中国でGoogle Appsを利用していたことなどが挙げられる。

「大企業では自社でサーバを立てることも多いのですが、Google Appsなら運用コストが格段に安く、かつ自社システムよりも優れた機能を使うことができます。これまでのGoogleの実績や取り組みを知っているため、水道や電気などのインフラと同じように情報基盤が使えるような安心感もありましたね」(椛田氏)