米国の起業家組合の会員を対象に行った調査で、起業家の2/3が昨年秋以降の景気悪化を楽観視していることがわかった。中小企業の経営者向けの顧問会社 President's Resource Organizationの社長であるRay Silverstein氏が米『Entrepreneur』誌において、調査結果を紹介している。
調査によると、過去10年間でも最悪とされた昨秋以降の経営状況について、42%の起業家が「それほど悪くはなかった」と回答。33%は「予想よりも悪かった」と答えたものの、25%は「驚くほどよかった」と述べており、中小企業の経営者においては全体として2/3が昨今の景気悪化を否定的に捉えていないことがわかった。
また、不況下における経営戦略では、多くの中小企業が積極的な経費削減に努めたようだ。調査の結果、具体的に示された施策では、25%が「レイオフ(一時解雇)の実施」と回答。その他、11%が「労働時間の削減」、9%が「人員の削減」を挙げており、人員整理によるコスト削減を行った企業が多いことがわかった。さらに、「従業員の健康管理費用」「退職金の一時保留や廃止」による福利厚生費用の削減、「通信費や出張費、接待費の制限による固定費の削減」などの回答も挙げられた。
一方、投資を増やした部門では、インターネット関連費用だ。「Web関連のマーケティング費用への投資を増やした」と答えた企業は76%にのぼっており、中でも、42%が「Webサイトのリニューアル」または「SEO対策費用を増加した」と答えている。その他「Eメールマーケティング活動の増加」「ソーシャルネットワーキングの活用」といった回答が挙がっている。
2009年下半期の経営状況の見通しを5段階で訊ねた質問では、楽観的な見方を示したのは37%で最も多かった。「どちらでもない」と回答したのは36%で、悲観的な見方を示した人は26%だった。
さらに、現在直面している経営上の課題について、トップ3は「キャッシュフロー」「資金調達」「従業員の健康管理費用」。また、中小企業界全体が直面する課題として挙げられた回答も、経営者が直面として挙げられたこれら3つの課題と一致する結果となった。