米DisplaySearchは7月13日(現地時間)、2009年のノートPC/ネットブックの出荷台数予測を発表した。2009年の全世界のネットブック出荷台数が3270万台と前年比で倍増と予測する一方で、従来型ノートPCは1億2950万台と前年比で約1%のマイナスと減少に向かうという。

今回のデータはネットブック市場の好調さを示すとともに、従来型のPC市場が今年も依然として厳しい状態にあることを示している。地域別の差も大きく、ノートPCの出荷数減少率は日本がトップで-13.0%、次いでEMEA (欧州、中東、アフリカ)地域が-9.1%、北米が-1.1%となっており、22.3%の成長を見込む中国などの他地域と比較して落ち込みが目立つ。特に日本はネットブック市場を含めたとしてもモバイル型PC全体の成長率が-6.8%と、唯一のマイナス成長地域となっている。

ネットブックの伸びが大きいのは中国(260%)と北米(136.9%)の特に2地域で、日本を除く地域での成長率も65-90%程度をキープしている。ノートPCに対する割合としては、南米の26%がトップで、次いでEMEAの22%となり、それ以外の北米やアジア地域ではそれほど高くない。2008年には全世界のネットブックの45%がEMEA地域に向けて出荷されており、2009年ではその割合が40%に落ち着くと見込まれるものの、依然として大きな位置を占めている。またネットブックが伸びた要因としては、日本でもよく見られる携帯電話契約とセットで安価にネットブックを提供するというパッケージ型販売が挙げられている。

DisplaySearchによれば、今回のノートPC市場の落ち込みは不況を反映して企業がIT投資を抑制したことで、企業向けPCの出荷が大きく落ち込んだことに起因するという。今年10月にWindows 7の発売が予定されているが、もし経済復活が起こるのであれば、こうした企業向けPCの需要が劇的に改善される見込みがあるという。だが、少なくとも2010年まではこうした現象が見られることはないだろうとDisplaySearchでは付け加える。

同様の分析は今回の調査報告以外でもみられる。例えば米Wall Street Journalの7月15日付けの記事「Dell Says Tech Spending Is Likely to Remain Weak」において、Dell幹部は依然として企業のIT投資が厳しい状況にあると語っている。一方でコンシューマ市場での成長を維持するため、従来のネットブックに加え、スマートフォンやMIDなどの小型インターネット機器を携帯キャリアなどを通じて提供していく可能性があるとも報告している。

折しも7月14日、これら機器向けのメインプロセッサを供給する米Intelが2009年第2四半期決算を発表しているが、この中で同社CEOのPaul Otellini氏は「不調だった第1四半期と比較して第2四半期の前四半期比の成長率は1988年以来の高水準を達成しており、PC市場の回復から2009年後半は非常に高い販売を見込んでいる」とコメントしている。だが上記のDisplaySearchの予測やDellの動向を見る限り、PC市場は依然としてかなり厳しい状況にあるようだ。