「QuarkXPress 8公認ガイドブック」(弊社刊)

いよいよ最終回を迎える「QuarkXPress 8」徹底攻略。今回も「QuarkXPress 8公認ガイドブック」(弊社刊)の筆者のひとり冨山詩曜が、「3.3」、「4.1」などの旧バージョンのユーザー向けに、QuarkXPress 8の便利なチップスを紹介する。最終回となる今回は、バージョン6と8についての使い分けやメリット、デメリットなどを総まとめしてみたい。

QuarkXPress バージョン6 vs 8

QuarkXPress 6と8を比べた場合、現状では6の方がより高い精度で過去データを開ける。というのも、バージョン6は機能を追加したり改善したりすることにはあまり意識を置かず、互換性を最大限に考えて開発されたからだ。一方、バージョン8は、たくさんの機能を追加している上に、組版エンジンもかなり再整備している。と聞けば、6の方が過去データを、より正確に開けるのも納得がいくだろう。ただし、ここで注意したいことがある。QuarkXPress 6はLeopard、VISTAに対応しておらず、こういったOSでは若干挙動不審になることがある。また、6で過去データを開いて再編集しようとしても、6の編集機能は8に比べるとかなり貧弱だ。この状況で、ユーザはどうすべきなのだろう?

理想としては、バージョン6と8を両方持つのがよい。過去データを無修正で、とにかく新しいフォーマットで使えるようにしたいというときは6で開き、色々修正して使いたいときは8で開く。そして、もし、8で開いたときにリフロー、ズレが生じてしまうデータがあったら、クォーク社にバグ報告をしておくのだ。ユーザからその情報が来れば、バージョン8.xにおいて、過去データとの互換性がだんだんと高まって行く。

6でもOpenTypeを使用することはできるが、こうしたOpenType特有の機能は、一切使うことが出来ない

互換モード

QuarkXPressを1ライセンスしか持っていない人は、とにかくバージョン8を手に入れるべきだ。なぜなら、8は6よりもずっと仕事を速くできるように改善されているし、使える手段もずっと増えている。それに、過去データを開く互換性が6より劣ると言っても、それはかなり厳しい目で見た場合だ。

そもそも、バージョンごとに組版エンジンは毎回変わっている。それでも過去データは変わらずに、体裁を保って開けるのは、過去バージョンの組版エンジンのエミュレーションがなされているからだ。QuarkXPress 8では、バージョン3.3/4/6のエミュレーションが可能だ。3.3のエミュレーションでは、一部意識的に「そこまではサポートしない」という部分があるが、4、6に関しては、なるべく完璧に開こうとする。そうした結果に若干の誤差が出てしまうことはまだあるが、これからのアップデートによって精度は高まって行くことだろう。

ところで、こうしたエミュレーションについて注意しておきたいことがある。表面上8のデータに見えても、実際はレイアウト単位で過去の組版エンジンが動いていることがあるということだ。そのため、レイアウト間でテキストボックスをコピー&ペーストした際、コピー元とペースト先で組版エンジンが違うと、そこでリフローが起こることがある。過去データを開いて、8や6のデータとして保存して行くときには、この点を注意して欲しい。

オープンダイアログでドキュメントを選択すると、下に「バージョン」(=最終保存バージョン)、「作成」の情報が現れる。「作成」はエミュレーションのバージョンを示している

過去データを開く際に、option(alt)キーを押しながらOKをクリックすると、最新の組版エンジンを適用することができる。そうして保存し直した過去データは、このように作成バージョンが8.0と表示されるようになる

QuarkXPress 8公認ガイドブック

今回は、バージョン6と8について、使い分けやメリット、デメリットについてのまとめを記した。現バージョンのQuarkXPress 8は、実際の操作はもちろんのこと、ワークフローも見据えた、全体的な効率アップを前提にしている。自社にスムーズに導入活用するにはどのように使っていけばいいのかお悩みの方は、「QuarkXPress 8公認ガイドブック」をぜひ手に取ってほしい。QuarkXPress 8をフルに活用するために必携の本書は、新機能の紹介はもちろんのこと、3.3、4.1ユーザのための移行テクニックや、ワークフロー解説なども盛り込まれた幅広いコンテンツで、ユーザをトータルにサポートする作りとなっている。「そんなの知ってることばかり」という方もご安心を。QuarkXPressのカラー管理やXMLがベースとなる新機能ジョブジャケットや、Flashデータを書き出すインタラクティブレイアウトなどについて、きちんと触れているのは本書だけ。まさに、QuarkXPress 8の特徴を網羅した解説書となっている。