沖電気工業(OKI)は7月15日、大型高密度製品の鉛フリーに対応した「静圧方式はんだ付け技術」を開発したことを発表した。また、同技術を用いた新たなはんだ付け装置を、日本電熱と共同で開発したことも併せて発表した。

従来のフローはんだ付けでは、溶融はんだ液面に波を立てプリント配線板を浸漬して、はんだ付けを行っていたが、プリント配線板の状態(部品の形状、配置)によるはんだ波形の乱れやプリント配線板の厚みの増加にともない、はんだがスルーホールへ回り込みにくくなり、不良を誘発していたという欠点があった。

新たに開発された静圧方式はんだ付け技術は、従来のフローはんだ付けの問題を解決するため、はんだ液面の波を抑え、さらにプリント配線板のはんだ浸漬深さを制御することで、スルーホールへ安定的なはんだの回り込みを実現した技術。これにより、プリント配線板にダメージを与えることなく、良好なはんだ充填を確保し、大型高密度製品に挿入部品を局所的にはんだ付けすることを実現した。

従来工法と新工法の特長

また、共同開発されたはんだ付け装置は、プレヒート機構部とはんだ付け機構部から構成されている。プレヒート機構部では、タクト搬送方式とヒータPID制御0の採用により、プリント配線板へ予備加熱として段階的に安定した大きな熱量を与えることが可能だ。プリント配線板への局部的な過度の熱負荷を防止し、内層パターン断線を防ぐことが可能である。

新型はんだ付け装置の外観

はんだ付け機構部では、"静圧はんだ付け技術"の採用により、ほぼ完全にはんだ噴流を抑制することが可能となり、プリント配線板のパッド食われを防止する。また、プレヒート機構部で十分な予備加熱が可能となったことに加え、はんだ付け機構部で浸漬深さ制御を採用したことで、スルーホールへの安定したはんだ注入が可能となり、安定したはんだ充填を実現。6mm厚プリント配線板へのはんだ付けで、従来のフローはんだ付け装置では、スルーホールへはんだ充填率が50%程度であったのに対し、新装置では100%を実現したという。

同装置は、サイズ490×510mm、厚み6mmまでの大型高密度製品に対して高品質の鉛フリー(Sn-3.0Ag-0.5Cu)はんだ付けを可能とするもので、OKIでは、情報通信工場・本庄地区におけるEMSビジネスにおいて、強みとして活用し、情報通信機器、計測機器、医療機器など各方面の顧客に積極的に大型高密度製品の生産サービスの拡大を図っていくとしている。