ビーブレイクシステムズは7月10日、システム業界における景気動向をまとめたレポートを発表した。同社は自社で手がけたシステム案件などをもとに現場の目線で分析したシステム業界の景気動向を定期的に発信している。
同社の発表によると、最近システム関連企業の倒産や経営危機の話を聞く機会が再び増えてきたという。その要因は、3月末に頻発したシステム開発プロジェクトの中止の影響を受けて、一部の中堅・中小のベンダーが厳しい経営状況に追い込まれているからと推測されている。
こうした企業は、これまで特定の大手ベンダーから定期的に案件を受注できていたので、営業体制が整っていなくても経営状況は安定していたが、それゆえ、大手ベンダーのプロジェクト中止の影響をもろに受けてしまった格好だ。
5月ごろまでは3月までのプロジェクトに関する未入金分の入金が続いて凌いでいたが、6月に入ると資金繰りが厳しくなり、倒産や経営危機という状況に陥っている模様。苦しい状況を打破するため、これまで行っていなかった新規開拓活動に着手した中堅・中小ベンダーも出てきているという。
加えて、厳しい経済環境の下、購買管理などコストを抑えるためのシステム導入や、エンジニア単価の引き下げ、下請け会社の削減など、企業ではコスト削減に関するさまざまな施策が行われている。コスト削減を目的としたシステム導入がトップダウンで行われる企業が多いなど、これまでコスト削減の意識は経営層が強く持っていると認識されていた。
しかし最近では、コスト削減に関する意識は担当者レベルにまで浸透してきていると、同社では分析している。いわゆる"勝ち組企業"と呼ばれる企業でも、エンジニアの単価が以前よりも1.5 割程度低い水準での採用となることもあり、業績や職位を問わず社会全体として、コスト意識が高まっているという。
また、エンジニアの採用状況については、システムエンジニア業務もプログラミング業務も需要はあるが、システム開発の市場が全体的に活況になっているわけではないため、エンジニアの供給過多の状況は解消されておらず、プログラミング業務に関する案件は、プログラミング業務もできるシステムエンジニアが採用される傾向が先月頃から続いているという。