NECビッグローブは8日、「クラウド時代に向けたBIGLOBEの戦略ビジョン」と題した事業説明会を行った。同社代表取締役 執行役員社長の飯塚久夫氏は、同社のクラウド時代への対応について、「ユーザー視点に立った個々のサービスをベースとしたクラウドコンピューティング戦略を立てていきたい」と語った。
飯塚氏がクラウド時代の3つの戦略ビジョン提示
事業説明会「クラウド時代に向けたBIGLOBEの戦略ビジョン~パーソナルクラウドの実現へ~」は8日午前、東京都千代田区の丸ビルホール&コンファレンススクエアで開かれた。
飯塚氏はまず、同社のクラウド時代の戦略ビジョンとして、(1)パーソナライズ、(2)クロスアプライアンス、(3)ユビキタス、の3つの領域で、取り組みを強化していくと説明。そのうえで、1のパーソナライズにおける同社の具体的な取り組みについては、以下の4項目を挙げた。
- ID連携による利便性の向上
- サイトのパーソナライズ/コンテンツのリコメンド
- ライフナビゲーション「BIGLOBEライフログ(仮)」
- マッシュアップとリコメンドによる先進検索サービスの実現
「ID連携による利便性の向上」では、すでに行っているマイクロソフトの「Windows Live ID」との連携をはじめ、今後はOpen IDの活用を強化。「サイトのパーソナライズ/コンテンツのリコメンド」では、トップページや各サイトの共通ヘッダ上で、一人一人にあった情報提供を提供する。
開発中の「BIGLOBEライフログ(仮)」は、ユーザーの行動履歴をクラウド上に自動的にアップロードし、カレンダーや地図上にビジュアル表示。写真や行動の履歴から、自分の思い出や行動を整理してユーザーが楽しむことができる。
M&A戦略で2012年度に売上高1,300億円
戦略ビジョンの2番目に挙げられたクロスアプライアンスは、さまざまなサービスと機器の連携により新たな付加価値の創出を目指すもの。具体的には、以下のサービスが挙げられた。
- ケータイ画像共有サービス「フォトポケ」
- CO2排出量見える化「みんなでカーボンダイエット」
「フォトポケ」は、携帯電話で撮影した写真がサーバに自動アップロードされるサービスで、NTTドコモの「N-06A」にはすでにプリインストールされている。今後はPCとの連携も図り、「位置情報なども組み合わせた新しいフォトライフを創造する」(BIGLOBE)。
「みんなでカーボンダイエット」は、家庭の分電盤に計測機器を取り付け、電力量を自動計測し、CO2排出量をネット上で見える化するというもの。すでにNECグループの社員が実践し、15%の削減効果があったという。BIGLOBEでは年内にサービス開始する方針となっている。
戦略ビジョンの3つ目のユビキタスにおける取り組みでは、専用ソフトが最適な接続を検索し自動接続を行う「BIGLOBEマルチコネクト」や、自宅や会社のPCをモバイル端末からリモートアクセスする「LogMeIn」の提供を行う。
さらに、パーソナライズ、クロスアプライアンス、ユビキタスの3つの戦略分野にまたがったサービスとして、クラウド上でPCとスマートフォンを連動させ、閲覧・操作履歴などを同期させる「BIGLOBEゲート(仮)」を2009年下期からサービス開始する予定となっている。
飯塚氏はこられのサービスにより、「ユーザーの立場に立って付加価値を創造し、利用者を拡大していく」ことが目標であると説明。企業向けとしては、「ますます『持たざる経営』が重要になっていく」とし、中堅・中小企業を対象にしたサービスを拡大し、これらの企業の消費者向けネットサービスを支援していく考えを明らかにした。
その上で、2008年度の売上高906億円に対し、2012年度の売上高を1,300億円にする目標を提示。傘下の投資会社を活用しながら、M&A戦略によって、この目標を実現する考えであると説明した。