「Google Car」と言うと語弊があるが、Google初の携帯電話となるT-Mobile G1のデザインを担当したデザイナーらが設計した"コンセプトカー"という話に興味はあるだろうか? それは7人乗りの電気自動車(EV)で、底面の見えない位置に4つのタイヤが配置され、しかも車自身が自動操縦で目的の場所まで連れて行ってくれるというオマケ付きだ。斜陽産業となりつつある米自動車業界だが、こんな新コンセプトならぜひ試してみたいと思えてくる。
米カリフォルニア州サンフランシスコを拠点とするデザイン会社のMike and Maaikeが発表した「Autonomobile (ATNMBL)」と呼ばれるコンセプトカーは、英Reutersなど海外メディアの報道によれば2040年を想定した未来の車だという。例えば、現在話題となっているシリコンバレーのスタートアップ企業の米Tesla Motorsの開発するEVが、あくまで既存の自動車(スポーツカー)のデザインを踏襲したもので、推進力がガソリンから蓄電池に代わっただけであるのに対し、同じEVのATNMBLはコンセプトそのものが異なる。
ATNMBLのコンセプトは、そのデザインで一目瞭然だ。同件を報じたFOXNews.comのフォトギャラリーを見てみてほしい。車というよりはむしろ、移動するリビングルームという感じだ。
テーブルを囲むように7人掛けのソファーがあり、ドアやボディは全面ガラス張りの近未来的なデザインになっている。携帯などのデバイスを使って車に指令を送ると、ATNMBLは玄関先までやってきて搭乗者を迎え入れる。搭乗者に対して「Where can I take you? (どちらへお連れしましょうか?)」と質問してくると、あとは目的地まで自動的に移動していく。車内はその移動の間の時間を潰す居住空間となる。
このアイデアの実現には、音声認識やリモートコントロール技術、そして自動運転を実現するための自動運行システムなど、さまざまな最新技術を必要としていることがわかるだろう。
このように技術的な面からも当面はお目にかかることがなさそうな未来のコンセプトカーだが、従来のカーエンジニアにはない発想のデザインという点で面白い。夢が大きいほうが期待感も膨らんでくる。