2年以上にわたってインターネットラジオ局と米国の音楽ライセンス管理団体の対立が続いていた楽曲使用料の問題がついに解決した。SoundExchangeは7月7日 (米国時間)、Webcaster Settlement Act of 2009の下で、Webキャスター、アーティスト、音楽レーベルの三者による合意を発表した。

この問題は2007年3月に米Copyright Royalty Board(CRB)がインターネットラジオ局に対して新しいライセンス料金を設定したことに端を発する。ネットラジオからの収入をアーティストやレーベルにも分配する目的だったが、一般のラジオ局を目安にした使用料率になっていたため、ネットラジオ局側からは新しいサービスの成長を損なうものになると批判が相次いだ。ネットラジオには、小規模な地方ラジオ局や個人規模でも音楽を幅広いリスナーに届けられるというメリットがある。その後、音楽ライセンス管理団体と、ネットラジオに適した使用料率を求めるWebキャスターの間の交渉が繰り返されてきた。

今回の合意は2006年から2015年までをカバーする。Webキャスターを、年間売上が125万ドルよりも多い大規模サービス、同125万ドル以下の小規模サービス、シンジケートサービスの3つに分類している。大規模サービスは最低使用料が年間25,000ドルで、売上げの25%もしくは楽曲配信ごとの支払いの高額な方になる。配信単位の使用料率は2006年が0.08セントで、徐々に引き上げられて2015年には0.14セントになる。小規模サービスの場合は、2006年から2008年は売上高25万ドルまでが10%、それ以降は12%になる。シンジケートサービスはNational Association of BroadcastersとSoundExchangeが合意した内容が適用される。

Pandoraの無料サービスは40時間まで

インターネットラジオ大手Pandoraの創設者であるTim Westergren氏は「"使用料問題に終止符が打たれた"---この一文を書き込める日を2年以上にわたって待ち続け、ついにその日がやってきた」と合意を熱烈に歓迎している。交渉が決裂すれば、ネットラジオはサービス停止に追い込まれる可能性もあったため、今回の合意は長期にわたるサービス提供をユーザーに保証するものになる。ただし使用料に関しては「高すぎる」とコメントしており、対策としてPandoraは全体のおよそ10%に相当するヘビーユーザーへの課金を開始する。無料サービスの上限を月40時間とし、それ以上の使用については月0.99ドルの支払いを求める。「音楽を聞く行為に制限を設けるのは我々の本意ではないが、新しい楽曲使用料率に対応するには他に選択肢がなかった」としている。