ガイドブックに大量の小道具や資料を抱えて海外旅行に行く時代は、新世代のデバイスの登場とともに変化しつつある。自然科学や考古学をテーマにしたコンテンツで知られる米National Geographics、その中でもアウトドア旅行をテーマにした「National Geographics Adventure」誌が「Top 20 iPhone Travel Apps」と題して旅行で役立つiPhoneアプリを紹介している。

AppleがiPhone 2.0のリリースとともに開始したApp Storeの盛り上がりは、もはや多くを語るまでもないだろう。2009年4月に10億ダウンロードを達成し、6月時点で登録アプリの総数が5万を超えたという。Adventure誌によれば、このうち旅行関係のアプリは2000種類ほどあり、毎週数十単位で増え続けているという。

iPhoneはそれ自体が便利なデバイスだが、追加のアプリを導入することで、さらにその利便性が向上する。今回は旅行先、特に海外旅行など普段とは異なったシチュエーション(「土地勘がない」「データ通信が使えない」「状況把握に制限がある」)で役立つアプリ20選を並べてみた。個々の役立ち度に個人差はあるが、ぜひ参考にしてみてほしい。

1. Next Flight (2.99USD)

次に利用可能なフライトの出発スケジュールは? 出発地と目的地を入力すれば、4200以上の空港と1100以上の航空会社のデータベースを駆使してフライト情報を検索するアプリ。遅延情報などのフライトの変更にも対応。

2. UrbanSpoon (Free)

慣れない土地でのレストラン探しは不安なもの。あるいは友人との会食の場所に迷ったときはこれ。UrbanSpoonは都市名、ジャンル、予算をスロット方式のダイヤルで入力し、後はiPhone本体を振るだけでお勧めレストランを紹介してくれる。対応都市は米国のほか、ロンドン、メルボルン、シドニーなど。

3. HearPlanet (5.99USD / Free)

自分の現在位置の近くにあるアトラクションや見所などをリストアップし、その解説を行ってくれるガイドアプリ。有料版とフリー版の2種類があり、フリー版はFeatured Modeと呼ばれるお勧めポイント紹介機能に特化している。なお有料版は現在、期間限定特別セール中で1.99USDとなっている。

4. Air Sharing (4.99USD / Pro: 9.99USD)

ドキュメントビューワーだが、その最大の特徴はオフラインでも閲覧可能な保存機能で、WebページのHTMLファイルやPDF、テキストなどを外出先でデータ通信を行わずとも確認できる。紹介されているのは4.99USDの標準版のみだが、9.99USDのAir Sharing ProはiDiskへの接続やメール送信、ZIPファイルの生成と解除、印刷など多岐にわたる機能が利用できる。

5. Tweetie (2.99USD)

iPhone向けのTwitterクライアント。旅行先からの素早い写真やコメントの投稿には最適。

6. IAmHere (0.99USD)

「いまどこにいるの?」とは電話やチャットでの定番のやり取りだが、IAmHereではシンプルにアプリを起動してボタンを押せば、Google Mapsのリンクを送信して現在位置を相手に知らせることができる。GPSを使うので場所をかなり細かく伝えることができる。

7. World Customs (0.99USD)

「着物は右前? それとも左前? どっちで着るの?」――こんな世界の生活習慣にまつわるネタを提供してくれるアプリ。ちなみにAdventure誌の記事では「Left over right」と、この問題の答えも紹介。これを日本語にすると「右前」となるのだからややこしい。

8. Wi-Fi Finder (Free)

データ通信がローミング扱いになる外国において、安価に便利にiPhoneを使うにはWi-Fiの活用が鍵となる。特にWi-Fiであれば、Skypeの活用で携帯からの高い国際電話料金を支払わなくても済むだろう。Wi-Fi Finderでは世界135ヶ国の20万のホットスポットをカバーしており、それらを探すのに役立つツールとなるはずだ。だが、無料のホットスポットのみを抽出してくれれば、もっと嬉しいのだが……。

9. The Weather Channel (Free)

Weather BugやAccuWeatherもお天気アプリの候補だが、Weather Channelはカスタマイズや複数都市の天気の一覧性で軍配が挙がる。

10. Google Earth (Free)

お馴染みGoogle EarthのiPhone版。Wi-Fiを使っても動作は少々遅いが、衛星写真を使って街の様子を自由自在に探索できるのはこのアプリの醍醐味だ。

11. Packing (1.99USD / Pro: 3.99USD)

旅行の悩みどころ、パッキングのための簡易ツール。必要なもののリストを作成し、チェックが行える。また出発前To-Doリストが用意されており、出発前の必携アプリとなっている。現在セール中で0.99USDに値下げされている。Pro版も存在し、こちらは用途別パッキング用サンプルリストが充実している。

12. Room (Free)

ホテルの部屋番号を記録するアプリ。最新鋭のキーカードには部屋番号なんてものは記載されていないので、その代理をやってもらうのがこの無料アプリだ。

13. FlightTrack Pro (9.99USD)

忙しくて行動予定表(Itinerary)を作っているヒマがないという人にお勧め。航空会社や代理店から送られてくるConfirmationのメールをそのまま「plans@tripit.com」に送信すると、自動的に行動予定表を組み立てて表示してくれる。またProではない4.99USDの通常版「FlightTrack」もあるが、こちらも有名なアプリで、指定したフライトが現在どの位置を飛んでいるのかをコースを含めて地図上に描写してくれる。Proにも当然この機能が含まれる。

14. Lonely Planet Phrasebook (9.99USD)

海外では最もメジャーな旅行ガイドブック「Lonely Planet」が提供する"一言フレーズ"の指南書。通常であればシチュエーション別会話集が載っているだけだが、Audio Phrasebookというキャッチコピーが示す通り、読み上げ機能がついている。「メキシコならそれほど問題にならないが、モロッコみたいな舌が絡まりそうな国では大助かり」とはAdventure誌のライターの弁。ちなみにPhrasebookは言語別のバージョンが用意されており、それぞれが9.99USDとなっているので注意。App Storeのランキングでは標準中国語(マンダリン)が一番人気のようだ。

15. Skype (Free)

もはや説明不要な、海外旅行での国際通話の強い味方。注意点はWi-Fiネットワーク上でのみ有効ということと、一般回線の電話番号呼び出しにはSkype Outの有料登録が必要なこと。

16. WriteRoom (4.99USD)

iPhoneにはNotes (メモ帳)というテキスト入力アプリが存在するが、不思議なことにこのデータを同期したり転送したりする手段がない(iPhone 3.0ならコピー&ペーストがあるが二度手間)。WriteRoomではデスクトップPCやノートPC間でテキストデータの転送を行う機能がついており、好きなときにiPhoneで作業し、自動的にバックアップすることもできる。

17. Amazon Kindle (Free)

iPhoneをKindleリーダーにするアプリ。Amazon.comから電子ブックを購入し、どこでもiPhoneで読むことができる。旅先に2つのデバイスを同時に持ち歩く必要はない。旅のお供にはiPhoneとこのアプリの組み合わせで。

18. Cheap Gas (Free)

昨今の経済情勢にもかかわらず、新興国のエネルギー需要の高まりへの懸念は原油価格を押し上げ――という前置きはさておき、旅先での高いガソリン価格は困ったもの。Cheap Gasは自分の近くにあるガソリンスタンドとその価格をリストアップしてくれるアプリ。価格情報はGasBuddy.comのデータを引用してきている。現在は米国限定のようだ。

19. Babelingo (3.99USD)

英語圏のユーザー向けの一言フレーズアプリ。300以上のフレーズを11言語で収録している。Lonely Planetと違って音声フレーズはないが、この価格で11言語サポートしている点がメリット。なお、現在セール中で1.99USDとなっている。

20. Where (Free)

Google Maps上に現在位置と、その周りにあるもの(例えばStarbucksや映画館とか)を知らせてくれるアプリ。映画館であれば上映時間も教えてくれる。日本では建物やコンビニなどの位置も地図に投影されていることが多いが、米国では地図には道情報しか投影されないため、こうしたアプリが役立つ機会は多いだろう。