富士通研究所は7月6日、Symbian OS、Windows Mobile、Androidの各OS上で共通に利用でき、さまざまなIP-PBX(IP電話交換機およびソフト)システムに接続するソフトを少ない工数で開発できるIP電話基盤技術の開発に成功したと発表した。同研究所によると、同種の技術開発は世界初とのこと。
新技術により開発者は、電話網がIP化されるLTE("第3.9世代"の携帯電話の高速データ通信規格)および4G(第4世代移動通信システム)時代のさまざまな携帯端末に対してIP電話機能の早期提供が可能となり、携帯端末の利用者は1台の端末で無線LANを使った内線電話サービスなど、各種のFMC(固定通信と移動体通信が融合した通信サービス形態)サービスを利用できるようになるという。
同研究所は、各OS固有の動作を共通した動作に置き換えるOS差異吸収モジュールを新たに開発し、IP電話の基本処理に関するモジュールの大部分を共通化した。特に音声制御については、IP電話の音質に影響を与えずに各OSで共通化可能な処理を抽出したという。
開発者は共通化モジュールの利用により、移植開発工数を削減でき、例えばIP電話ソフトウェアでは約60キロステップのモジュールを共通化しており、開発者は各種の携帯端末プラットフォームに合わせて5キロステップ程度を開発するだけで移植開発が可能という。また音声制御も共通化することで、各OS上での音質チューニング時にモジュールの修正箇所を少なくでき、音質チューニングが容易になるとしている。
また、IP-PBXベンダーごとにSIP(セッション確立プロトコル)標準仕様と差異がある個々の内線付加機能を追加するだけで、異なるIP-PBXとの接続を可能にする機能差分追加機構を導入した。開発者は数100ステップ程度の差分開発だけで、複数のIP-PBXに対応できるという。また今後、LTEや4G、NGN(次世代通信ネットワーク)に対応するIP電話端末を開発する場合にも、差分開発だけで各SIP仕様に対応可能になるとしている。
そのほか、IP電話機能だけでなく、SIPを用いた機能としてプレゼンス管理(在席確認)やインスタントメッセージング、暗号化通話機能などを、SIP機能差分として追加できるという。