エジプト・カイロ市内のホテル、InterContinental Cairo CityStarsが『Imagine Cup 2009』の開催会場となる。大会2日目の7月4日(現地時間)、各カテゴリの競技がスタート。日本から参加のソフトウェアデザイン部門・NISLab++が昨年のパリ大会の雪辱を期して初戦に臨んだが、残念ながら2次ラウンド進出はならなかった。
ソフトウェアデザイン部門はImagine Cupでもっとも参加者が多い、メインの競技カテゴリだ。各国の予選を勝ち抜いた代表チームが集い、「国連ミレニアムの開発目標」に対するITソリューションを提案する。2009年大会では1次ラウンドを分割し、代表チームが事前(6月)に提出するプレゼンテーションビデオをラウンド1A(採点35%)、本会場で4人の審査員を前に英語で行なうプレゼンテーション(20分間)とQAセッション(10分間)をラウンド1B(採点65%)としている。プレゼンビデオはPeople's Choiceとして公開されており、一般ユーザによる投票が可能だ(採点には影響しない)。4日、NISLab++がラウンド1Bに臨んだ。すでに公開プレゼンで多くの支持を得ている「PolyBooks」はどんな評価を受けたのだろうか。
NISLab++が、国連ミレニアムの開発目標を解決する根本的なカギと考えたのは「教育」。そのためには開発途上国における低い初等教育修了率を高める必要があるとし、問題要因のひとつである"教科書不足"に対するソリューション、PolyBooksを提案した。いわゆる電子教科書だ。初等教育修了までに必要な教科書コストを大きく下回る100ドルPCなどの低価格PCを利用、教科書コンテンツにはWikiBooksなどWeb上のオープンコンテンツを活用する。これらに自由度の高い編集機能や共同編集機能、「言語グリッド」プロジェクトのWeb APIを活用した双方向翻訳機能を持たせるなど、Webならではの教科書プラットフォームを披露した。インターネット経由による改訂システムでは、ネット環境の未整備地域に対し、バイクなどで各地域に運んだデータをアドホックネットワークで共有・更新するというフォローもなされている。
昨年のパリ大会のような滞りもなくデモを終え、QAセッションも無事に終えたNISLab++。関係者も含め手応えを感じたプレゼンだった。しかし、2次ラウンドの進出チームが呼び上げられる中、NISLab++の名が上がることはなかった。雪辱を期して臨んだエジプト大会だったが、またも初戦の壁は厚かった。
なお、同日に組み込み開発部門・CLFSも初戦に臨んだが、2次ラウンド進出はならなかった。フェーズ1でのプレゼンテーションでは停電に見舞われるという不運もありながら、フェーズ2におけるデモンストレーションでは審査員の好感触が見て取れた。しかし、こちらも世界の壁は厚かったようだ。
日本からの出場者では、写真部門の寺田志織さんが4日正午より36時間の長丁場になる制作に取りかかっている。テーマは"Kaleidoscope of Cairo, ancient culture facing technology"。結果は最終日(現地時間7日)の表彰式で発表される。
なお、ソフトウェアデザイン部門と組み込み開発部門のファイナリストは数時間後に発表される。2次ラウンド進出チームは以下のとおり。
ソフトウェアデザイン部門 - セミファイナリスト
チーム名 | 国 |
---|---|
Virtual Dreams | Brazil |
Ideorama Team | Colombia |
The Monkey Wrench Gang | Czech Republic |
Help’Aged | France |
Movement Studio | Mexico |
Demoscene Spirit | Poland |
SYTECH | Romania |
Vital Lab | Russia |
LADP Development | Spain |
Mahee | Sri Lanka |
Tech-Volunteers -Taiwan | |
TKCL | United Kingdom |
組み込み開発部門 - セミファイナリスト
チーム名 | 国 |
---|---|
Open Lab | Brazil |
Bamboo & Papyrus | Canada |
iSee | China |
MedBox | Egypt |
Wafree | Korea |
Brainy Brownie | Mexico |
SAS_EN | Sri Lanka |
Seeds | Taiwan |
AST | Turkey |
Intellectronics | Ukraine |
uUh | United Kingdom |
PARV | USA |