Imagine Cupは華やかな祭典だ。開会式からして……というよりも、開会場所の選定からして、実に学生たちを盛り上げる趣向が凝らされている。エジプト・カイロで7月3日夜(現地時間)に開催された『Imagine Cup 2009』オープニングセレモニーの場所は、旧要塞。荘厳なモスクと国立軍事博物館が隣接し、会場を取り囲む城壁にはImagine Cupのロゴが投影されている。そんなかつての戦いの地に、競技を控えた学生たちが集う。盛り上がるわけだ。

かつての紛争の爪痕が残る城壁に「Imagine Cup」のロゴが投影された。いよいよ開幕!

ベタな言い方をすると、エジプトの暑さ以上に学生たちの熱気は高い。国名がアナウンスされ、各国の学生たちが入場してくる。その様子は会場メインスクリーンに映し出され、明日からのコンペティションに支障をきたしそうなテンションを見せる学生もいれば、落ち着き払った学生の姿も。浴衣姿が見える日本チームも、勢いよく報道陣の間を走り抜けて行く。いまこの祭典に参加している学生たちは、世界170カ国以上・30万人を超える学生が参加した予選を突破した70カ国・444人。「君たちがここにいるのは、君たちが勝者だからだ」(Ali Faraway マイクロソフト 中東アフリカ地域担当 バイスプレジテント)。

大会の主役である学生たちが入場

夜遅くまで続いた開会式の会場では、振る舞われた食事や交流を楽しむ学生たちのリラックスした様子が見られたが、明日(現地時間4日)早朝からはさっそく競技へと入っていく。日本のNISLab++が出場するソフトウェアデザイン部門、CLFSの組み込み開発部門はいずれも同日中に1次ラウンドと2次ラウンドが行なわれ、夜にはファイナリストが発表される。写真部門の寺田志織さんは、4日正午より36時間にわたる作品制作に入る。3チームとも、タイトなスケジュールで競技をこなさなければならないが、それは他チームも同じこと。イメージどおりのプレゼンテーション、作品制作ができるよう願いたい。

ソフトウェア部門に出場するNISLab++(左から前山晋哉/門脇恒平/小板隆浩・メンター/中島申詞/加藤宏樹)。開会式に先立ち行なわれたモスク見学会にて

組み込み開発部門に出場するCLFS(左から佐藤晶則/長田学/宮内龍之介/有賀雄基)

写真部門に出場する寺田志織さん(右)とメンターを務める瀬尾宙さん

開会式会場内の様子

Imagine Cupは将来に影響を与える大会

Imagine Cupは開催国政府の協力もあり(そうでなければ"要塞"なんて……)、開催規模で比肩するITイベントはそうは存在しないだろう。また、今回はマイクロソフト チーフソフトウェアアーキテクトのRay Ozzie氏が登場したことで、同社における学生育成支援の重要性が改めて強調されたと言える。その一環において、Imagine Cupは非常に重要なイベントだ。この大会は若い人たちの将来に影響を与えてきた。大会で結果を残して起業した学生、Microsoft Researchへ就職するなど就職活動の好材料となった学生も多い。今日この会場に集った学生たちが、閉幕までにどんな体験を得るのかもまた楽しみだ。

マイクロソフト チーフソフトウェアアーキテクトのRay Ozzie氏が登場。自身の学生時代の話を交え、大胆に夢へ挑戦する大事さを説いた

Imagine Cupといえばこの人、総責任を務める同社教育部門シニアディレクター Joe Wilson氏。同氏からも多くのチャレンジャーの中から本戦へ駒を進めた学生に賛辞が送られた