日商エレクトロニクスとSamsung Electronicsの日本法人である日本サムスンは7月2日、デジタルサイネージ関連製品の代理店契約を締結、日本におけるデジタルサイネージ市場に対して協業を推進していくことを発表した。
日商エレクトロニクスの執行役員で、同社のグループ会社でビジュアライゼーション関連を担い、今回の販売なども担当するエヌジーシー(NGC)の代表取締役社長である諏訪和由氏は、今回の提携に対し、「2年ほど前からデジタルサイネージに関する案件が増えてきており、市場の拡大を感じてきた。今回の提携により、業務用パネル、PC、制御ソフトを組み合わせたソリューションとして提供することができるようになる」と語る。
また、「元々NGCはコンテンツ作製や編集に強みを持ったビジネスを展開してきた。また日商エレ本体は通信技術などに強みを持つ。こうした技術ノウハウに日本サムスンの提供するパネルを組み合わせることで、すでに欧米では実践されているようなデジタルサイネージの活用のほか、超高解像度パネルなどの提供を行っていきたい」(同)とする。
一方、Samsung Electronicsのビジュアルディスプレイ事業部 常務取締役である金晋煥氏は、「SamsungはFPDの普及に尽力しており、その1つのアプリケーションとしてデジタルサイネージを考えている。今後のロードマップとしては、屋外対応の高輝度パネルやコントロール用などのソフトウェアの提供も随時行っていく計画だが、日本でこれらを普及させるためには日本サムスンだけの力では難しく、"技術対応力"と"商品対応力"の2つを兼ね備えたパートナーが必然的に求められることとなるわけで、そうした力を持つ日商エレと提携できたことは将来に向かって、大きな意味を持つ」とした。
販売を担当するNGCでは、7月1日付けでデジタルサイネージ営業部を発足、主に公共の場での広告やイベントでの展示、企業での活用などへの適用に向けた営業活動の展開を行っていくとしている。
第1弾製品として提供されるシステムは「Samsung UD(Ultra Definition Display)」と呼ばれるシステムで、46型パネル「SyncMaster 460UTn-UD」に専用スタンド「MID462」を組み合わせたシステムとなる。
460UTn-UDは、表示画素数1366×768に対応し、表示色数は約1,677万色、輝度は700cd/m2、コントラストは3000:1だ。また、内蔵コントローラとして背面部にPCを搭載している。こちらの性能はAMD Athlon X2 3400+(2.3GHz デュアルコア)で、SSD8GBにOSとしてWindows XP Embedded SP2が搭載されているほか、GPUとしてATi RS780(128MB)が採用されている。日本サムスンでは、すでに一般店舗などに向けた32型液晶ポスター製作・表示システム「ハルヱとケイジ」と1年ほど前から提供しているが、同パネルと仕様の基本部分を揃えながら、各所の性能を向上させたような構成となっている。
べゼル部分は6.7mmを実現。モニタを左右に並べても、非表示間隔は7.3mmに抑えることが可能となっており、違和感を減らすことができる。また、独自のブロック型マルチディスプレイシステムを採用。これにより、上方向に4段、左右方向には上限数まで(上下左右の組み合わせで最大250台まで接続可能)接続することも可能となる。その際の解像度は4万784×2万6,800となり、10億画素の表示が可能になるという(3台×3台の9面マルチ構成の場合で138型相当、4,098×2,289画素となる)。
画面分割は当然だが、合計で1つのパネルと考えることができるため、コンテンツのサイズは考える必要がない(ちなみに写真の画像の場合は、左がHDの画像で、右が通常画像) |
パネルの背面(コネクタが沢山あるが、外部PCでの管理だけであればLANを接続するだけで問題ない) |
同システムは、単に正方形に組み合わせるだけでなく、階段型やピラミッド型に構成ができるほか、パネルとパネルの間を外向きに90°、内向きに40°曲げることが可能であり、曲面を構成することも可能だ。
これらパネルに表示する画像の管理は、内蔵PCでも実行可能なほか、4K×2Kなどの高解像度画像は外部のPCで管理することも可能。その場合は、パネルから出るGbEをスイッチを介して外部PCに接続することで制御が可能となる。
なお、日本サムスンでは第2弾以降の製品として、同じ46型ながら屋外向けに輝度を1500cd/m2のモデルならびに、70型/82型で2000cd/m2のパネルの提供を今年中に海外と同様、防塵、防水加工やクーラーなどを付属した状態で国内向けに提供していく予定としている。