NECは7月3日、「NEC CSRアニュアル・レポート2009」、「NEC環境アニュアル・レポート2009」を発行したことを発表した。いずれも同社サイト内のWebページとして公開しており、事業方針や活動内容等をインタビュー、レポートなど、さまざまな形式で報告している。
これらのうち、NEC CSRアニュアル・レポート2009は、同社のCSRへの取り組みと成果をまとめたもの。矢野薫 代表取締役社長のトップメッセージや、NECグループのビジョン「ビジョン・バリュー」による変革への取り組み、事業活動を通した社会的課題解決への貢献などを掲載している。
一方、環境アニュアル・レポート2009では、「NEC環境経営ビジョン2010」で掲げた目標「2010年度にCO2排出"実質ゼロ"」に対する進捗状況や、目標達成に向けた取り組みなどを報告。2008年度の主な活動実績として、「生産・オフイス活動による温室効果ガス総排出量を前年度比43万t削減」「製品使用時のCO2排出量を(2005年度製品比)45%削減」「ITソリューションの提供による顧客のCO2排出量189万t削減」などが掲載されているほか、目標達成のための主な施策や2008年度の環境活動ハイライトも紹介されている。
NECでは2003年、「NEC環境経営ビジョン2010」を発表。これは、京都議定書の最初の約束期間である2008-2012年の中間年である2010年度に、NEC製品を利用することによるCO2の排出量と、NECの生産活動によるCO2の排出量を合わせた分だけCO2を削減し、CO2の排出実質ゼロを達成しようというものだ。
2007年度の実績では、185万トン排出量が上回っていたが、2008年度はその差は43万トンまで縮小、2010年度の目標達成に向け順調に推移している。
NECグループの温室効果ガスの排出量についても、2000年度165万トンであったものが、2008年度には165万トンと、100万トンの削減を達成。2010年度に163万トンにまで縮小するという目標を2年前倒しで達成した。
温室効果ガスの排出量の削減施策としては、NECセミコンダクターにおいて、クリーニングに利用するガスを代替ガスに変更したり、省エネ設備の計画的導入、データセンターの省エネ化、海外植林、航空便・臨時便の削減、輸送効率の向上等を通して削減したという。
おもしろい取り組みとしては、今年の4月から「みんなでカーボンダイエット」というトライアルを行っている。これは、NECのグループ社員約100世帯が参加して、ゲーム感覚で家庭での電力消費量の削減を行うものだ。
このトライアルでは、各家庭の分電盤に電力使用量計測ユニットを設置。近距離無線を使ってサーバ上に使用データを自動的に送信して集計し、前年同月の電気使用量と比較した削減分をエコポイントとして付与するというもの。獲得したエコポイントは参加世帯ごとに管理し、ランキング形式で表示するとともに、CO2削減達成率を競い合う「Carbon ball(フンコロガシで、エコ)」では、ニックネームをつけた"フンコロガシ"が、カーボンボールを転がした距離を競いあうといったゲームも用意されている。
昨年から試行が開始された排出権取引のクレジット制度についてNEC 環境推進部長 斎田正之氏は、当面活用する予定はなく、あくまでグループ内での活動を通して削減を実施するとしながらも、2002年から行っているオーストラリアでの植林活動によって得られたCO2削減効果については、今後クレジット化していく考えを明らかにした。
オーストラリア・カンガルー島の植林 |
今後の環境エネルギー事業の推進については、短期目標としては自動車向けリチウムイオン電池へ注力し、中・長期的には、NECグループの強みを活かした環境・エネルギー事業を創出し、売上高1000億円超を目指すという。