三洋電機は7月1日、同社バイオメディカ事業部の事業概況と今後の戦略についての説明を都内にて行った。同事業部は、1966年に薬用保冷庫を発売したことからスタートしており、歴史的に見れば40年以上の実績を持つ。
錠剤包装機などさまざまな機器を取り扱っており、現在のコア事業は超低温フリーザなどの機器となっており、国内の市場占有率は、薬用保冷庫で68%、バイオメディカル・フリーザ38%、超低温フリーザ57%、CO2インキュベータ27%、細胞治療分野機器(セルフプロセッシングセンター:CPC、セルフプロセッシングアイソレータ:CPアイソレータ)60%となっている。
同社コマーシャルカンパニー バイオメディカ事業部 事業部長の加藤隆一氏は、「現在バイオメディカルの分野には、iPS細胞に代表される高度先端医療に向けた要求と、環境対応を図るという2つのニーズがある」と語る。こうした要求に対応するためには、「高度な無菌化環境の実現と臨床医療への展開が必要」(同)としており、そのためには無菌化に対する担保を持たせつつも、低コスト、省スペースを実現した機器を提供していく必要があるとした。
同社は2009年4月に独立制御デュアル冷却システムを搭載したデュアル冷却超低温フリーザ「MDF-U400VX」、H2O2による除染システムを搭載したCO2インキュベータ「MCO-19AIC」、運転状況をPCで常時監視するLAN対応型監視システムなどを発売したほか、2009年度全体で合計7機種の新製品を投入していくとする。
MDF-U400VXは、2系統の冷媒配管が筐体を取り囲むように配管することで、片方が故障しても庫内全体をー70℃に保つことが可能なようになっている。また、2台のコンプレッサを交互にON/OFFさせることで、複数のコンプレッサ駆動モードを実現。これにより、常時1台のコンプレッサが常時ON状態になっており、もう1台をON/OFFするタイプのものに比べ27.1%の省エネ率向上を達成する。
また、MCO-19AICは、H2O2をミスト状にし、庫内に行き渡らせた後、UV光を当てH2Oに分解するというもので、第三者機関として北里環境科学センターが除染が確認できたことを報告しているほか、分解後も人体に影響を及ぼすガスなどが発生しないため、環境汚染度もゼロにすることが可能となる。また、通常の乾熱方式では熱して冷ますまでの時間が少なくとも24時間必要であったのに対し、加熱冷却時間が不要となるため、1/8の工程時間(3時間)程度で次の作業に移ることが可能なほか、消費電力も乾熱方式比で90%程度の削減が可能となっている。
同社では、こうした新製品の提供を通じ、国内外の顧客へソリューションとして提供していくことで、各製品市場の市場占有率の向上を図っていくとしており、加藤氏は「CPC/CPアイソレータは、市場が拡大していくこともあり、2012年の目標としては現状の60%を国内占有率で維持する」としたほか、「超低温フリーザに関しては現状の世界での市場占有率30%から2012年には40%へ、CO2インキュベータに関しては、現状の同市場占有率20%から2012年には30%へと引き上げていきたい」(同)とする。
また、2007年度、2008年度と同事業の売上は200億円を突破しており、「2009年も市況不安があるものの200億円の売上規模は維持していきたい」(同)とした。