セイコーエプソンIJP・LP事業戦略推進部・山崎英雄部長 |
セイコーエプソンは、法人向けプリンターの「オフィリオ(Offirio)」シリーズの最上位機種として、A3カラーページプリンターの「LP-S9000」を、7月27日から発売する。価格は29万9800円。
また、エプソン販売では、同製品の投入にあわせて、オフィス市場での展開に加えて、業種・業務に特化した市場戦略を新たな推進する姿勢を示した。
LP-S9000は、「一般オフィスでの使用に限らず、POP出力などか求められる市場において、十分に対応できるプリンターを目指して、ハヤイ、キレイ、ツカイヤスイの3点をコンセプトに追求した」(セイコーエプソンIJP・LP事業戦略推進部・山崎英雄部長)という製品。
ハヤイという観点では、オフィリオ史上最速となる35PPMのカラー高速出力を実現するとともに、ファーストプリントでもカラーで6.4秒、モノクロで6.3秒を達成。印刷指示から出力までを待たせず、作業者にストレスを感じさせることがないとしている。
さらに、「データ転送から排紙まで、他社の40PPM機と遜色がない生産性を実現。これまではマイクロソフト・オフィスアプリケーションからの印刷環境に弱いところがあったが、コントローラの処理速度を高めることや、アプリケーション上から直接印刷設定を可能にすることで、すばやい印刷環境を実現した」(山崎部長)という。
キレイという観点では、色再現性に優れ、正確なカラーバランスを実現するLCCS(Logical Color Conversion System)を採用。文字、細線の再現性の向上、赤の発色向上を達成しているという。
エプソン販売プロダクトマーケティング部・宮西徳郎部長 |
「LCCSは、ロチェスター工科大学マンセル研究所と共同で基礎開発し、エプソンが独自に実用化させた世界初の論理的新ルック・アップ・テーブル作成テクノロジーであり、従来のルック・アップ・テーブルに比べてガマット(色再現性)、階調性、粒状性などをバランスよく最適化している」(山崎部長)としたほか、「新開発トナーの採用によって、赤色領域の彩度を向上。商店の値札などでは表現にインパクトがある金赤において、より近い赤色が発色できる」(エプソン販売プロダクトマーケティング部・宮西徳郎部長)という。
ツカイヤスイでは、150万ページの耐久性やユーザー交換が可能な定着機の採用によるメンテナンス性の向上、、カラートナーが切れてもボタンひとつでモノクロ出力が可能な動作環境の実現、55g/m2から256g/m2までといった薄い紙から厚い紙までの印字を可能にするなどの機能強化を図った。
さらに、背面を壁に接して設置できる設計としたほか、LEDの高輝度化とパネル傾斜を持たせることで、見やすいパネル表示を実現。給紙カセットも、コロ付きとすることで、小さな力で操作できる設計とした。
パネルを傾斜させることで、操作性と視認性を高めた |
軽い力で開け閉めができるように工夫されている |
ユーザー交換が可能な仕組みとし、メンテナンス性を高めている |
背面部をすっきりとさせ、壁につけられるようにしている |
「高速出力によるオンデマンド印刷により、POSデータと店内POPの表示価格をリアルタイムで一致させることができるようになるほか、POPの内製化を促進できることから、コストダウンにもつなげることができる」(宮西部長)としている。
小売業向けに簡単にPOPが作成できるツールとして「かんたん!POPプリント」を用意したほか、文教市場向けには学校行事や校内掲示物、副教材などのテンプレートをまとめた「学校向け活用BOX」を用意。LP-S9000とセット販売していく。
一方、LP-S9000の投入にあわせて、これまで中心としていたオフィス市場向けの販売展開に加えて、帳票マーケットへの本格参入、POP市場への展開、官公庁・文教市場での展開といった、業種・業務に特化した市場展開を強化する姿勢を見せた。
エプソン販売マーケティングセンター長・中野修義取締役 |
エプソン販売マーケティングセンター長・中野修義取締役は、「これまでは一般オフィス市場に対しての訴求を中心に行ってきた。2008年度第4四半期(1~3月)の実績は、A3ページプリンター市場全体が88%と前年を割り込んだのに対して、前年同期比100%の実績となり、目標達成率は115%となった。カラーページプリンター市場ではナンバーワンシェアを獲得している。こうした市場に対しては、引き続き、コスト削減メリットや、導入しやすいハード価格の訴求などを進める」とする一方で、「新たな市場ターゲットとして、業種・業務に特化した展開を開始する。帳票市場については、SIパートナーとの連携により、着実に案件を獲得し、ウイングアークやビーエスピーといった帳票アプリケーションベンダーとの連携をさらに強化する考えだ。また、POP市場に向けては、小売業、ブランドオーナー、飲食業をターゲットに展開していく。POPの内製化によるコストダウンを進めたいという意向を持つなど、購買意欲が高い領域を攻めていく」とした。
同社では、特販統括部門による小売業向けへのアプローチのほか、MA(メジャーアカウント)営業部門による大手企業顧客へのダイレクトアプローチの体制が整ったことから、これらの部門と、パートナーとの連携によって販売強化を進める計画だ。
年間販売目標は5000台。A3カラーレーザー高速機市場において、20%のシェア獲得を目指す。
「POP分野では、24%にあたる1200台の販売を目指す。ターゲットを広げても、仕事に役立つ、選べるプリンターのラインアップを実現していく」(中野取締役)とした。