シャープおよびソニーは、大阪府堺市に建設中の液晶パネルの生産を行うための合弁会社設立に向けた契約を、2009年6月30日までに行う予定だったが、両社によると、6月30日の期限までに合意が得られず、契約には至らなかった。
ソニーでは、「引き続き、話し合いを継続している段階であり、前向きに検討していることには変わりがない。また、基本的な内容については変更がない。だが、6月30日の期日までに詳細を詰めきれなかった」とコメント。また、シャープでは、「6月30日までに契約締結には、至っていない。今年1月に発表した両社の合弁会社への出資の意向に変更はなく、両社での協議を継続している」としている。
6月23日に開催されたシャープの定時株主総会では、株主の質問に答える形で、濱野稔重 副社長執行役員がソニーとの契約について言及。「6月末までに合弁会社の設立に向けて契約するという方向は変わっていない。細部を詰めている段階であり、出資比率については当初の計画から変更はない」と回答していた。
次の契約期限については、双方とも具体的な日時は示していない。
シャープとソニーは、2008年2月に、堺工場において生産する液晶パネルの製造/販売のための合弁会社を設立するための意向確認覚書を交わしており、当初は、法的拘束を有する合弁契約を2008年9月30日までに締結するとしていたが、経済環境の変化などを背景に、その契約を2009年6月30日に延期していた。今回の延期は2回目のこととなる。
両社では、今年1月の段階で、合弁会社の設立予定時期を、2010年3月に延期することを発表しているが、シャープでは、2009年10月に液晶パネル工場を稼働させる計画を明らかにしている。
シャープでは、「両社とも、経験がない経済環境の悪化なかで、赤字脱却を目指している状況にある。そうしたなかで、どのタイミングが適切なのかを考えている。また、中身の詰めに時間がかかっている」と説明している。
シャープの堺工場は、2850×3130mmという第10世代のマザーガラスを使用した液晶パネル生産が可能な最先端の工場で、42型では15枚、57型では8枚、65型では6枚のパネルを切りだすことができ、大画面テレビのパネル生産に最適化した工場となっている。2007年11月から着工しており、2009年10月の稼働時には、月3万6,000枚のパネル生産を行い、フル稼働時には月7万2,000枚のパネルを生産できる。投資額は約3,800億円となっている。