日立製作所 執行役常務 情報・通信グループ プラットフォーム部門CEO 北野昌宏氏 |
日立製作所は6月30日、クラウドコンピューティング向けソリューションを「Harmonious Cloud」として体系化したことを発表した。
Harmonious Cloudは、「ビジネスPaaSソリューション」、「ビジネスSaaSソリューション」、「プライベートクラウドソリューション」の3つによって構成される。いずれも名前のとおりのサービスを提供するソリューションで、ビジネスSaaSソリューションについては、すでに「TWX-21」という名称で提供中。プライベートクラウドソリューションについては、10月30日より構築支サービスが開始される。
日立製作所 情報・通信グループ プラットフォームソリューション事業部 事業部長 中村孝男氏 |
発表会の中心となったのは、ビジネスPaaSソリューション。その特色を表すキーワードとしては、「高信頼」、「高セキュリティ」、「環境配慮」の3つが並べられた。
これらのうち、高信頼という点では、同社が提供する「BladeSymphony」、「CommuniMax AXシリーズ」、「日立ディスクアレイサブシステム」といった実績のあるサーバ、ネットワーク、ストレージ製品を使用するのに加えて、「リソースキャパシティ保証サービス」、「可用性強化サービス」といった信頼性を高めるサービスをオプションで用意している。特にリソースキャパシティ保証サービスは、同社のサーバ仮想化機構「Virtage」を用いて、物理CPU/メモリを占有的に利用できる状況が作られるという特長的なもので、バッチ処理を時間内に確実に終えたい場合などに有効だという。
また、高セキュリティに関しては、ユーザー専用のVPN装置が設置されるといったシステム構成により、独立性を確保できる点が強調された。
そして、環境配慮については、BladeSymphony、CommuniMax AXシリーズ、日立ディスクアレイサブシステム、Virtage、および統合システム運用管理ソフトウェア「JP1」のそれぞれの省電力機能により、CO2排出量を削減。加えて、2009年7月より運用が始まるデータセンター「Harmonious Cloud センタ」でも、高効率な空調/電源設備の採用により、消費電力量の削減を実現している。
そのほか、ビジネスPaaSソリューションで提供されるサービスは以下のとおり。
サービス名 | 概要 | 価格 | 提供開始時期 |
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プラットフォームリソース提供サービス | 仮想化されたプラットフォームリソースを提供するサービス | 8万9000円~(月額) | 2009年7月31日 |
リソースキャパシティ保証サービス | 物理CPU、物理メモリなどを占有することでプラットフォームリソースの処理性能を確実に確保するサービス | 個別見積 | |
可用性強化サービス | システムディスク、ディスクボリュームのバックアップ/リストア、サーバのクラスタ化などプラットフォームリソースの可用性を強化するサービス | ||
クラウド導入コンサルテーション | 既存環境のアセスメント、クラウド導入の計画などに関するコンサルテーション | ||
クラウド導入支援サービス | 導入時のネットワーク設計(VPNなど)、サービス選定を支援するサービス アプリケーションの検証、既存サーバ環境のクラウド環境移行などの支援サービス |
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ソフトウェアスタック提供サービス | 電子モール、給与計算など業務アプリケーションの開発に必要なミドルウェアを、目的に応じて組み合わせて提供するサービス | 2009年10月30日 | |
PaaS構築・運用支援サービス | PaaS構築・運用のノウハウなどを提供するサービス | ||
SaaS事業者向けサービス | SaaS事業を行う上で必要となる機能などを提供するサービス |
日立では、クラウドコンピューティング関連事業において、2011年度にグループ全体で1000億円の売上を目指している。