アイ・ティ・アールは6月29日、デスクトップ仮想化によるクライアントPC管理の効率化に関するコスト試算調査の結果を発表した。結果の詳細をまとめたホワイトペーパーも発行され、同ホワイトペーパーは同社のWebサイトから無償でダウンロードすることができる。

同レポートは、仮想企業(国内に7拠点を有する、エンドユーザー数1,500名の製造業)を設定し、デスクトップ仮想化を導入した場合と従来のクライアントPCを利用した場合の運用管理コストについて、5年間のTCO試算結果をまとめたもの。デスクトップ仮想化ソフトウェアにはシトリックス・システムズ・ジャパンのCitrix XenDesktopを用いた。

同社は4月、企業におけるクライアントPC管理の現状を把握するため、国内企業ユーザーを対象に調査を実施した。同調査の「クライアントPC管理において改善したい点は何か」という問いに対する回答として最も多かったのが「運用管理コストの削減」(44.6%)であった。

そうした背景も踏まえ、同社は企業においてPCの運用管理コスト削減を具体化させる1つの方法として、デスクトップ仮想化に着目し、デスクトップ仮想化の導入がTCOに与える影響の算出を試みたという。

同社では、今回のコスト試算により、デスクトップ仮想化製品を導入してクライアントPCの運用管理を一元化することはTCOの観点からも有効だとしている。具体的には初期導入、PCリプレース、運用管理、保守契約、機会損失の5つのケースを総合した分析が行われた。

デスクトップ仮想化を導入した場合、当初は初期導入コストが大きくなるものの、PCリプレース・コスト、運用管理コスト、機会損失コストの削減によって、3年目にはPCの利用を継続する場合とほぼ同一となり、5年間トータルでは22%、約8,600万円のコスト削減が行えるという結果となっている。

デスクトップ仮想化を導入した場合と従来のクライアントPCを利用した場合とで大きな差が出たのは、運用管理コストと機会損失コストだった。仮想デスクトップを導入する場合、サーバ側で一元的な管理を行うことで、これらの作業コストを大幅に削減でき、結果として5年間の運用管理コストの差額は約6,000万円に上った。また、機会損失コストの差はセキュリティ維持のためのエンドユーザー作業の有無が大きな要因であり、5年間で約9,000万円の差になっている。