大阪ガスは6月25日、太陽熱を有効活用し、夏は冷房、冬は暖房を行う「業務用ソーラー空調システム」の実用化を進めるため、同社事業所内での実証試験を6月から開始したと発表した。

同システムは、太陽熱を効率良く集めて温水に変換する「太陽熱集熱器」と、コージェネレーションシステムの排熱利用機器として開発された排熱投入型ガス吸収冷温水機「ジェネリンク」から構成される。

太陽熱集熱器は、総面積は204平方メートルで、日射量のピーク時は130kW相当の熱量を得ることができる。温水温度は80~90℃まで上げられる。

ジェネリンクには、夏に太陽熱から得た温水を熱源として投入し、太陽熱の不足時はガスで追だきをして冷水を作り出して冷房を行う。同システムでは太陽熱を優先的に用いるため、一次エネルギー消費量を抑えた冷房が実現できる。空調負荷が小さい時は、太陽熱だけで運転が行える。

同システムでは、補機動力の削減や放熱ロスの低減を行うため、日射量・温水温度・ジェネリンクの運転状態をモニターしながら集熱ポンプ・熱源水ポンプを制御することで、システム全体の省エネルギーを図っている。実証試験ではシステム全体の省エネルギー性の評価を行う。

同システムは、同社の導管技術センターの屋上に設置されている。今後約1年間、同センターの冷暖房を行いながら、同システムの省エネルギー性を検証し、データやノウハウの収集・蓄積を行う。実証試験では、同センターの冷暖房に用いる一次エネルギー消費量を約20%、CO2排出量も同程度削減できる見込みだという。

大阪ガスの実証システムの仕組み