三洋半導体は2009年6月19日、カーナビゲーションやワンセグ受信テレビなどの小型液晶表示機器に向け、ワンセグの画質改善、システムの電力消費低減を可能にす画像改善LSI「LC749402BG」を発表した。
同製品は同社独自のテレビ画質向上コア「SDPIC(Sanyo Digital Picture Improvement Core)」をベースにしたもの。システムにアドオンするだけでメインコントローラに負荷をかけずに画質改善を実現することが可能だ。また、タイミング・コントローラを内蔵していることから、システムの部品コストの低減も可能になる。
三洋半導体のカスタムLSI開発部 課長である太田昌也氏 |
同日都内で行われた記者向けの説明会において同社カスタムLSI開発部の太田課長は、新製品の特長として、
- ワンセグ諧調補正
- バックライト光量の自動制御による消費電力削減
- ダイナミックγ補正や色補正、ノイズリダクションなどその他の画質改善機能
の3点を挙げた。
1つ目のワンセグ諧調補正とは、ワンセグ特有の諧調の欠陥欠落を補正、画質を向上させる機能。ワンセグ放送はデータ量が少ないため、諧調情報が欠落し、色のグラデーションが粗く、縞模様のように見える。従来、修正手法でこのグラデーションを滑らかにすると輪郭がぼやけることになっており、画質の低下につながっていた。これに対して今回、同社独自のフィルタリング技術を導入することで、輪郭のシャープネスを維持したまま、滑らかの画像表現を可能にしている。
2つ目のバックライト光量の自動制御技術は、映像信号に合わせて最適光量を算出、光量を削減する一方で、入出力特性を制御、輝度を強調することで全体的な視認性に変化が出ないようにするというもの。これにより、同社が測定したところによればバックライト部の消費電力を従来比で35%削減することができたとする。
3つ目のその他の画質改善機能のうち、ダイナミックγ補正は表示するシーンにより最適なコントラストに自動調整するというもので、映画の暗いシーンを見やすい明るさに自動調整したり、車載カメラの映像表示に応用することで視認性を高めたりするなどの応用が期待できるという。このほかにもLCD特有のギラついた白を低減したり、ピーク輝度を抑えつつエッジを強調する輪郭補正技術、6軸(RGBKYMC)サチュレーション制御カラーフィルタなどによる色調低減補正、肌色補正といった色強調・補正技術、さらにノイズリダクション機能などが搭載されている。
「LC749402BG」は2009年7月からのサンプル出荷を予定している。サンプル価格は600円。量産開始は同年11月を予定、量産規模は月産10万個を計画している。また、「LC74940xBG」シリーズとしては、より自然な動画表示のため本来のフレーム間に予測フレームを挿入する倍速フレーム補間に対応する「LC749403BG」の開発を進めている。すでにアルゴリズムは完成しており、2010年5月にサンプル出荷を開始する予定で、同年9月には量産を開始する計画としている。さらにワンセグ超解像機能を搭載した「LC749404BG」の開発も進めているという。