Freescale Semiconductorの日本法人であるフリースケール・セミコンダクタ・ジャパンは6月22日、組み込みアプリケーションへのマルチコア技術を導入するためのさまざまな課題に対処する包括的なソリューションベースのアプローチとして、ソフトウェア「VortiQa」とエコシステムの拡張を発表した。
VortiQaを用いることにより、同社のプロセッサ「QorIQ」ならびに「PowerQUICC」の性能を最大限に引き出すことが可能となる。VortiQaはサービス・プロバイダ、エンタープライズ、中小企業、SOHO住宅のそれぞれの市場をターゲットとした4製品が提供され、それぞれの領域に向けた完全に統合されたアーキテクチャ互換の最適化済みアプリケーション・ソフトウェアを提供することで、開発速度の向上、検査/最適化の削減などが可能になる。また、AMP(非対称型マルチプロセッシング)、SMP(対称型マルチプロセッシング)、ハイブリッドAMP+SMPの各種構成に対し、アプリケーションに応じて機能とコア割り当ての最適マッピングを作成するという時間のかかる作業も不要になるという。
サービス・プロバイダ機器用VortiQaは、ハイブリッド・ソフトウェア・アーキテクチャにより、データ・プレーン・アプリケーション向けに高スループットおよびセッション処理を実現できるという。代表的なアプリケーションには、ルータおよびスイッチ、メトロキャリア・エッジルータ、UTMデバイス、IMSコントローラなどが見込まれている。
エンタープライズ機器用VortiQaは、SMPベースのソフトウェア・アーキテクチャにより、複数のコアにまたがるスケーラブルな性能を実現できるという。代表的なアプリケーションには、SSLおよびIPSecファイアウォール、UTMデバイス、集中型メディア・ゲートウェイ、アクセス・ゲートウェイなどが見込まれている。
中小企業向けゲートウェイ用VortiQaは、AMPベースまたはSMPベースのソフトウェア・アーキテクチャにより、中小企業向けゲートウェイに必要な機能を実現できるという。また、個別のPowerQUICC製品に合わせた性能調整も可能だ。代表的なアプリケーションには、ブランチオフィス・ルータ、マルチサービス・ビジネス・ゲートウェイなどが見込まれている。
SOHO/住宅向けゲートウェイ用VortiQaは、ローエンド・ゲートウェイを対象としており、サービス・プロバイダによるプロビジョニングに対応した追加機能も実現するという。代表的なアプリケーションには、ブロードバンド・ルータ、デジタル・ホーム・ゲートウェイなどが見込まれている。
一方、エコシステムの拡張により、パートナー企業にソフトウェア、トレーニング、各種サポートや通信プラットフォームを提供、それぞれの特定専門分野で包括的なソリューションを提供することが可能になるという。
主な拡張部分としては、ハードウェアおよびJDM/ODMパートナー向けに一括型製造、一括型商品管理および構築済みハードウェア製造の提供。OS、ツールおよび開発ソリューション・パートナー向けに開発ツール、OSおよびBSPサポートの提供。独立系ソフトウェア・ベンダー(ISV)向けに、特定の専門分野のソフトウェア・アプリケーション、スタックおよび関連サービスの提供。製品やサービスの提供形態は、FreescaleのVortiQaとは独立した形の場合も、統合した形の場合もあるという。システム・インテグレータ向けには、製品開発インテグレーションおよび専門的なサービス機能の提供となっている。
なお、VortiQaは、QorIQ、PowerQUICC II ProおよびPowerQUICC III通信プラットフォームで利用可能で、Freescaleからの商用ライセンス下で提供される。