日本アイ・ビー・エム(以下、日本IBM)は6月18日、同社のWebアプリケーションサーバ「WebSphere Application Server」をクラウド上で管理するための専用ハードウェア「IBM WebSphere CloudBurst Appliance V1.0」と、仮想化環境に最適化されたWebアプリケーション・サーバ「IBM WebSphere Application Server Hypervisor Edition V1.0」を発表した。2製品の出荷は6月27日より開始される予定。
同社の理事でソフトウェア事業WebSphere事業部長を務める デビット・ベイト氏は、「現在のデータセンターは、購入された45%を占めるx86サーバの利用率は10~15%と非常に低く、アプリケーションのプロビジョニングに人手と時間がとられているという課題がある」として、こうした課題の解決策として、今求められているのが、リソースを仮想化して共有する「クラウドコンピューティング」だと説明した。
今回発表された2製品は、クラウド環境でのWebアプリケーション・サーバの導入・運用管理を簡易化するために開発されたものだ。IBM WebSphere CloudBurst Applianceには、IBM WebSphere Application Server Hypervisor Editionが搭載される。
WebSphere Application Server Hypervisor Editionは、OSにSUSE Linux Enterprise Server 10.2を採用しており、仮想化環境としてはVMWare ESX 3.5.x/3.0.x、ESXi 3.5.xマシンに対応している。同製品は仮想化環境での利用に最適化された形で事前構成が行われており、ハイパーバイザー上での実行が可能。
管理者は、CloudBurst Applianceに対し、アプリケーション・サーバの構成、アプリケーションの導入、ネットワークやパラメーターの設定を1度行うだけで、その後の配布作業は自動で行う。これにより、WebSphere環境の構築時間は最短で約8分にまで短縮できる。
CloudBurst Applianceでは、Webベースの管理画面から簡単にWebSphereの仮想イメージをクラウドに配置・実行し、プールに戻すといった一連のライフサイクルの管理が行える。同製品は2つのバージョンのWebSphere Application Server Hypervisor Editionの仮想イメージを提供できるため、ニーズに応じてバージョンの使い分けに対応することが可能。また、同社のノウハウをベースに構成された特定のトポロジーが4種類提供されており、これにより仮想システムの構築のスピード化が図れる。
WebSphere Application Server Hypervisor Editionの価格は、PVU(Processor Value Unit:ソフトウェア・ライセンスの機種別サーバ単位による課金)によって決まる。同社が最小構成価格として発表している価格は、1年間のバージョンアップ・保守料金を含むパスポート・アドバンテージ・エクスプレス」を適用した100VUの場合で、254万6,000 円だ。WebSphere CloudBurstの価格は643万5,000円から(いずれも税抜)。