日本オラクルは17日、「第2回 IFRSパートナーコンソーシアムセミナー -IFRSが連結会計に与える影響とグループ経営革新への取り組み-」と題するセミナーを開催した。今回はその中から「IFRSが連結会計に与える影響とグループ経営革新への取り組み」と題した講演の様子をレポートする。
IFRS導入の道筋が明確化
日本においてIFRS(国際会計基準)導入の流れが加速する中、その準備や対応に追われる企業が多くなっている。そこで、日本オラクルが企業のIFRS対応を実現するべく、パートナーと協力してソリューションの構築、提案、提供を行う共同体が「IFRSパートナーコンソーシアム」だ。
5月28日に引き続き、第2回目となる「IFRSパートナーコンソーシアムセミナー」では、連結会計の視点から見たIFRSと日本基準の差や影響範囲、グループ経営革新への取り組みなどが紹介された。
「IFRSが連結会計に与える影響とグループ経営革新への取り組み」と題した講演では、ヒューロン コンサルティング グループのマネージングディレクターであり、公認会計士の井上寅喜氏と櫻田修一氏が登壇。グローバルに展開するプロフェッショナル・コンサルティング・ファームの視点から、IFRSがグループ連結会計に与える影響や、グループ経営革新の取り組みなどについて語った。
実は、IFRSパートナーコンソーシアムの開催前日に、金融庁の企業会計審議会 企画調整部会から「我が国における国際会計基準の取扱いについて(中間報告)」と題したIFRSに関する中間報告が発表されている。井上氏はこの内容を受けて「これでかなりIFRS導入に関する道筋がはっきりしました。企業の対応もこれから大きく変化すると思います」と語り、2月発表の草案からより明確になった部分にスポットを当てて解説した。
日本語翻訳版は補助的な利用に留まる
まずIFRSの任意適用に関するポイントは、対象企業が従来の「市場において十分周知されている一定規模以上の上場企業」という表現から、「国際的な財務・事業活動を行っている上場企業」へ、そして適用基準が「IASBが作成したIFRS(日本語翻訳版)を適用する」から、「IASBが作成したIFRSをそのまま適用する」へと変更されたことだ。 特に適用基準に関しては井上氏も「英語の原文を使わなければいけないため、会計処理にかなりの影響が出てくると予想されます」と語る。
日本語翻訳版の表記が消えた理由は、原文と翻訳版では日本語というフィルタを通してズレが生じ、最終的に解釈の相違が出る危険性を秘めているため。「翻訳版でも8-9割の会計処理は問題ありませんが、残りの1-2割に関しては原文を判断基準にせざるを得ない、という議論が行われています」(井上氏)。
「原文での判断が必要になるのは、違反や処罰が発生する事例をはじめ、最悪の場合は上場廃止になるようなケースの会計処理です」と井上氏は語る。現在のところはあくまでもIFRSの英語版を使用し、翻訳版は補助的な利用に留まるとの見方が濃厚のようだ。
ちなみに任意適用の適用時期は2010年3月期と明記されており、このまま確定すると思われる。