NECエレクトロニクスは6月16日、RTN(Random Telegraph Noise)のLSIへの影響を定量的にモデル化する手法を開発したことを発表した。同成果は、6月15日から開催されている「2009 Symposium on VLSI Technology」において発表されたもの。

RTNとはトラップ(電荷1個が出入りできる微小な欠陥)に電荷が出入りすることでトランジスタの特性が時間とともに不連続に変動する現象。今回同社では、RTNの統計的挙動を把握するのに必要な多数のトランジスタ測定を実現するために、1,000個のトランジスタを効率的に測定してRTNによる特性変動幅の統計的分布を抽出することが可能なDMA(Device Matrix Array)を用いた測定手法(擬似並列測定法)を開発したほか、その測定結果を用い、RTNの原因となるトラップ個数の統計的分布、および各とラップが引き起こす特性変動幅の統計的分布を抽出、この結果を元にトランジスタ特性の最大の特性変動を計算するモデル化手法を開発したことで、RTNによる誤作動を防ぐことが可能な回路設計への道筋を開いた。

また、今回の解析モデル式を用いることで、今後のプロセスの微細化によりRTNの影響がどのように増えていくのかについても計算が可能であり、計算した結果、RTN起因の特性変動幅は微細化とともに、従来のバラつきよりも早いペースで増加することが判明したという。

なお、同社では、今後も高性能、高品質のデバイス製造を実現するため、RTNを含めたバラつき現象に関する研究・開発を継続して行っていくとしている。