グーグルは15日、定例記者会見を開き、米Googleの検索製品・ユーザーエクスペリエンス担当副社長のMarissa Mayer(マリッサ・メイヤー)氏が、検索サービスの今後の方向性について話した。Microsoft「Bing」など新しい検索サービスの登場について「(検索)産業全体でまだまだ創造的なことができる証明」と述べた。
Mayer氏は、スイスの金融大手UBSの研究所などを経て、1999年にGoogle女性初のエンジニアとしてGoogleに入社。これまで、検索インタフェースの設計・開発、100言語以上への国際化、Google News、Gmail、Orkutなどの構築に関わり、人工知能やインタフェース設計では特許も取得している。
記者会見でMayer氏は、Google入社時はさまざまな検索エンジンが乱立していた状況にあったとし、「なぜこのエンジンが必要なのか」と常に問われてきたと話した。その後Webはどんどん複雑化・肥大化し、Webページの総量は、5年前に5エクサバイトだったものが、現在は281エクサバイトになっている。また、ユーザーが1日にアップロードするデータも、3年前に比べて15倍以上になっている。
Mayer氏は、「これらの複雑化するコンテンツをどう見せていくかが課題になっている」とし、ユーザーに負担をかけない検索として、画像や動画、地図、製品のデータを一覧できる「Universal Search」をリリースしたと説明した。さらに、オンラインでないものをどう取り込んでいくかという課題の中で、『Google Book Search』や、学術資料の検索が可能な『Google Scholar』をリリースしてきたと述べた。
Twitterなどのマイクロブログ検索も提供へ
さらにMayer氏は、「ブログやニュースなどの検索に関しては、非常にスピードを重視している」と語り、Twitterなどのマイクロブログ検索を「Universal Search」の中で提供していく考えであることも示した。
Mayer氏はこのほかにも、『fusion tables』や『Google Map Maker』『Google Suggest 2.0』『Google Voice Search』『Google Similar Images』など、Googleの新しい試みについて説明した。
「fusion tables」は、科学者がハードディスク内などのオフラインで持つ研究データをオンラインで共有するためのサービス。例えば、乳児の死亡率やマラリアの発生状況など、各エキスパートがデータを共有することで「人類の叡智を集める」(Mayer氏)ことを目的としている。
「Google Map Maker」は、地図データのない地域に関しても、ユーザーが地図を作成できるサービス。すでに1日で6,000件の投稿がなされており、「ネットを通じてユーザーが正確な地図を作ることができる」(同)。
約2週間前にリリースされた「Googel Suggest 2.0」は、検索ワードをタイピングした際にキーワード候補を表示する「Googel Suggest」の機能に、キーワード候補だけでなくURLも表示するものとなっている。「Google Voice Search」は、音声入力することができるサービス。また、「Google Similar Images」はある画像の似た画像を検索できる。
Mayer氏はこれらの製品について、「easier(より易しく)」「more personalized(より個別化された)」がテーマであると語り、「ユーザーに負担をかけず、個人ユーザーにどうやって最適化していくか」を課題として、開発にあたっていると強調した。
この課題によって、「さらに創造性がかきたてられる」と話すと同時に、「ユーザーの好奇心はまだまだ無限。ユーザーが強く成長することによって、Webそのものがよくなっていく」とユーザーへの期待を示した。
検索エンジンには改良の余地がある
MicrosoftのBingや、米Wolfram Research開発のWolfram|Alphaなど、新たな検索エンジンが登場してきていることについては、「この2カ月は非常にエキサイティングだった。我々のツールだけでなく、BingやWolfram|Alphaが出てきたことは、(検索の世界で)まだまだ創造的なことができるということを、(検索)産業全体で証明している」と述べた。さらに、「検索エンジンにはまだまだ改良の余地がある」とし、「最終的には、ユーザーにフォーカスすることが、創造の一番の原動力になる」と今後の開発に意欲を示した。