シャープは、2010年度に達成を目指していた「地球温暖化負荷ゼロ企業」の目標を、2年前倒しで達成したと発表した。これに伴い、新環境ビジョン「エコポジティブ・カンパニー」を策定。2012年には事業活動における温室効果ガス排出量に対する削減貢献量を2倍以上にすることを目指す。

2004年度に同社は、中期ブランド目標として、「事業拡大と環境保全を両立する環境先進企業の実現」を掲げ、環境ビジョンとして、2010年に地球温暖化負荷ゼロ企業を実現することを目標に掲げていた。

地球温暖化負荷ゼロ企業とは、全世界での事業活動による温室効果ガスの排出量に対して、生産した太陽電池による創エネルギーと、商品の省エネルギー効果によってもたらされる温室効果ガス削減貢献量を引いたものが、ゼロ以下になることを目指すもの。

環境ビジョン「2010年 地球温暖化負荷ゼロ企業」

同社によると、2007年度は事業活動による排出量が180万トンであったのに対して、削減貢献量は創エネで85万トン、省エネで66万トンの合計151万トンとなり、事業活動による排出量が上回っていたが、2008年度実績では事業活動による排出量が170万トンに対して、削減貢献量は創エネで102万トン、省エネで95万トンの合計197万トンと、ビジョンを発表以来、初めて排出量を上回る削減貢献量を達成した。2008年度は、生産量の削減で13万トン、事業活動における抑制効果への各種取り組みで3万トンを削減したという。

排出量と削減貢献量の推移

シャープ 取締役専務執行役員 太田賢司氏

シャープの太田賢司取締役専務執行役員は、「地球温暖化負荷ゼロ企業の目標策定当初には、目標とした数値が大きすぎる、環境負荷ゼロという意味がわかりにくいなどの声もあったが、21世紀は環境とエネルギーが重要なキーワードになると考え、これに正面から取り組んできた。事業活動が成長し、排出量が増加するなかで、亀山工場における環境への取り組みをはじめとした事業活動における排出量の抑制効果のほか、創エネとしては太陽電池、省エネでは冷蔵庫、エアコン、液晶テレビが貢献している」とした。

新たに策定した環境ビジョン「エコポジティブ・カンパニー」では、同社が創業100周年を迎える2012年までに、事業活動における温室効果ガス排出量に対する削減貢献量を2倍以上にすることを目標に掲げた。

新環境ビジョン「エコポジティブ・カンパニー」

また、今後は温室効果ガス削減貢献倍数「Return On Emission(ROEm)」を、シャープ独自の指標として導入し、内部管理に利用するという。

「これまでは、事業活動による温室効果ガス排出量が大きいネガティブ・インパクトの企業だったが、2008年から温室効果ガス削減貢献量が排出量を上回るポジティブ・インパクトの企業に転換した。今後はエコポジティブ・カンパニーとして、環境貢献に取り組んでいく」(太田取締役専務執行役員)と位置づけた。

そして、エコポジティブ・カンパニーとして、エコポジティブ戦略を策定。オンリーワン環境技術を通じた新規事業の創出を目指す「エコポジティブ・テクノロジー」、製品を通じた環境貢献の拡大を目指す「エコポジティブ・プロダクト」、モノづくりにおける環境負荷の低減を狙う「エコポジティブ・オペレーション」、社会との関わり合いを通じた企業価値の拡大を目指す「エコポジティブ・リレーションシップ」の4点から取り組む。