矢野経済研究所は6月8日、国内デジタルサイネージシステムベンダー、運営企業、コンテンツ制作企業などを対象に行った「てデジタルサイネージ市場調査」と、東京都在住の20代から50代の男女362名を対象に行った「デジタルサイネージに対する生活者の意識調査」の結果を発表した。
同社では、、「屋外や店頭、交通機関など、家庭以外の場所においてディスプレイなどの表示機器で情報を発信する媒体」を広義のデジタルサイネージと定義し、これから電子POPや大型ビジョンを除いたものを狭義のデジタルサイネージと定義している。
2008年度の広義のデジタルサイネージの市場規模は、前年度比103.3%の553億400万円となった。そのうち、販促ツールや広告媒体として注目を集めている狭義のデジタルサイネージ市場規模は、設置拠点や広告収入の増加により、前年度比111.3%の327億9,700万円。
2009年度は、大規模ユーザーでは実証実験を通した本格導入に向けた検討が続く見込みで、中小規模ユーザーでは引き続き20~30%程度の成長(案件ベース)が見込まれるものの、ハードウェアやASP・SaaSといったサービス形態の普及に伴う案件単価の低価格化が進むと考えられるという。こうした状況から、狭義のデジタルサイネージ市場規模は、前年度比107.9%の354億円、広義のデジタルサイネージ市場規模は102.9%の569億万円となる見込み。
さらに同社は、2013年度には、広義のデジタルサイネージ市場が808億9,000万円、狭義のデジタルサイネージ市場が577億6,000万円まで成長すると予測している。
一方、生活者対象に行った調査では、デジタルサイネージという言葉を知っている、あるいは、聞いたことがある人は全体の20.7%という結果が出ている。前回調査(2008年9月)より3.5 ポイント向上し、生活者に対する認知はわずかながら広がっているが、言葉の認知度はまだまだ低い。
デジタルサイネージの媒体の認知度については、東京メトロが展開している「Tokyo Metro ビジョン」の認知度が18.0%と最も高く、次いで、JR東日本が展開している「トレインチャンネル」の認知度が17.1%と続いており、2社が拮抗している。上位5媒体のうち、4媒体が鉄道系となっており、デジタルサイネージ市場を鉄道広告が牽引することが期待される。