6日と7日の2日間、横浜赤レンガ倉庫広場で環境省、独立行政法人環境再生保全機構および横浜市の主催による「エコカーワールド2009」が開催された。低公害車の普及促進を目的としたイベントで、電気自動車、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車、DME(ジメチルエーテル燃料)車、水素自動車、LPガス自動車、低燃費かつ低排出ガス認定車など約80台を展示。入場無料の一般向けイベントで、車両のみの展示に説明員が1~2名といった出展が多く見られる。おりしも横浜では「開国博Y150」が催されており、多くの来場者で賑わっていた。このレポートでは電気自動車や電気スクーターと、発表されたばかりの充電スタンドを紹介しよう。

「エコカーワールド2009」の会場入り口

「エコカーワールド2009」の会場風景

本格的に市場投入される電気自動車

三菱自動車工業の「i-MiEV」と富士重工業の「プラグイン ステラ」の発売が7月下旬からと発表され、話題を集めている電気自動車。特にi-MiEVの周りには人が絶えず、関心の高さをうかがわせた。両車とも試乗車が用意されていた。

「i-MiEV」の市販車モデル。接続されているのは普通充電用ケーブル

左は普通充電リッドに普通充電用ケーブルを差し込んだ状態。外すときは黄色の部分を押し込む。右は普通充電用ケーブルのコネクタ部のアップ

「プラグイン ステラ」の横浜市栄区に導入されたモデル。9月末まで公用車として使われる

電動カートやEVスポーツカーの製造を行う電気自動車メーカーのゼロスポーツは、電動軽トラック「ゼロEVセラビュー」を展示。富士重工業の「サンバー」をベースに直流式電気モーターを搭載し、駆動用バッテリーには密封式鉛電池を12個使用。リチウムイオン電池やニッケル水素電池を使用していないが、その分低コストで提供され、最大積載量も350kgを確保している。乗用以外の電気自動車は少なく、荷物の運搬ができる作業用車両は貴重な存在。同社所在地がある岐阜県の各務原市役所や花フェスタ記念公園、よこはま動物園ズーラシアなどに導入され、トンネル工事現場でも活躍しているとのこと。

電動軽トラック「ゼロEVセラビュー」。一充電走行距離は70km。価格は284万円

また、電動カーや電動車いすの安全な利用法および普及を目的に設立された「EV安全協会」は、電気自動車や電動スクーターを紹介。参考出品の車両と共に、販売予定のモデルも展示されていた。電源はいずれもAC100V。超小型電動カーは乗車人数や荷物の積載量が限られるが、近くの店をまわる買い物など狭い範囲の移動で済む使い方や、公共施設、公園、テーマパーク等での利用が考えられる。

9月発売予定の「ピッコロ・スポーツ」。リチウムイオン電池を搭載し、一充電走行距離は75km。価格は165万円

川崎重工のニッケル水素電池"ギガセル"を搭載した「スターラボ」。一充電走行距離は未公表。販売の予定は無いとしている

「スターラボ クーペ」はスーパーキャパシタを搭載。一充電走行距離は30~50km。販売は未定とのこと

電動スクーターの「イーマックス・S型」はホイールインモータで駆動。鉛シールド電池を搭載し、一充電走行距離は70km。9月発売予定で価格は65万円

そのほか、専用の交換ステーションでのバッテリー交換が可能な「カセット式電気自動車」を開発した米ベタープレイスは、日産 デュアリスをベースとした車両と充電スポットを展示し、バッテリー交換の様子をビデオで説明していた。

「カセット式電気自動車」と、スタンドタイプの充電設備「充電スポット」。バッテリー交換ステーションは大掛かりとなるため、小型で導入が容易な設備を用意。右は「充電スポット」を説明したパネル

早期の設置が望まれる電気自動車用充電スタンド

豊田自動織機は、日東工業と共同開発した電気自動車およびプラグインハイブリッド自動車用の「充電スタンド」を展示していた。3日に発表されたもので、AC200Vの普通充電に対応するスタンド。電気自動車の普及には外出先で充電を行うためのインフラの整備が必要とされるが、短時間で充電が可能な急速充電スタンドは価格が高いことがネック。価格を抑えることができる普通充電スタンドは充電に時間を要する問題点があるが、ショッピングセンターやテーマパーク、病院、役所など比較的長時間の駐車を行う施設への設置であれば、普通充電スタンドでも十分に機能すると考えられる。同スタンドは「i-MiEV」や「プラグイン ステラ」の発売にあわせて7月下旬に発売される。

豊田自動織機の普通充電用「充電スタンド」。価格は45万円程度を予定。充電用ケーブルは「i-MiEV」や「プラグイン ステラ」に対応する

カバーにはダイヤルロック機能を装備する

表示部では、充電中やエラー、タイマーの残り時間を表示する

パナソニック電工も、電気自動車用の充電スタンドを参考出品した。AC200Vの普通充電用コンセントを搭載し、100Vコンセントの増設も可能という。カバーにはいたずら防止用の鍵を装備し、カバー内部には硬貨投入口を備える。機能の詳細は検討段階で、今後発表される電気自動車の仕様や、充電スタンドの設置を検討している自治体や企業の要望などを参考にして仕様を詰めていくとのこと。

パナソニック電工が参考出品した「充電スタンド」。カバーは鍵で開閉する(写真中)。内部にAC200Vのコンセントを備える(写真右)