ターボリナックスは、6月5日、「不況に強いシステム提案のポイントが分かる! 『仮想環境』『Windows-Linux相互運用性』で創り出す新たなビジネスチャン ス」と題して、セミナーを開催した。
この中で、レッドハット マーケティング本部 部長 中井雅也氏が講演し、仮想化機能「KVM」を搭載した次期バージョンのRed Hat EnterPrise Linuxを、今年に9-10月にリリースする予定であることを明らかにした。
KVMは、昨年9月にレッドハットが買収したイスラエルのQumranet社が開発した仮想化技術。レッドハットでは、次期バージョンのRed Hat EnterPrise Linux 5.4でKVMをOSに統合した形でリリースする。
秋にリリースされるのは、Red Hat EnterPrise Linux 5.4、WindowsやLinux上の複数の仮想サーバを統合管理する「Red Hat EnterPrise Virtualization Manager For Servers」、スタンドアロンのハイパーバイザ製品である「Red Hat EnterPrise Virtualization Hypervisor」の3製品。また、仮想デスクトップ環境(Windows XP)を管理する「Red Hat EnterPrise Virtualization Manager For Desktop」は、この3製品にやや遅れる形でリリースされるという。
Red Hat EnterPrise Virtualization Manager For Serversでは、ライブマイグレーションのほか、CPUのしきい値が一定の数値を超えた場合、仮想OSを他の物理サーバに自動的に移動するシステムスケジューラの機能もサポートされるという。
「Red Hat EnterPrise Virtualization Manager For Servers」の機能 |
「Red Hat EnterPrise Virtualization Hypervisor」の特徴 |
仮想化の課題
セミナーでは日立システムアンドサービス 研究開発センタ 技術基盤G 吉田行男氏が登壇。「仮想化におけるOS混在環境の問題点と相互運用性向上の必要性」と題して、仮想化の問題点を指摘した。
吉田氏は、「いろんなOS、アプリを1つのマシンに詰め込むため、管理が複雑になっている」と述べ、仮想化環境での管理の複雑性や障害発生時の問題の切り分けの難しさを指摘。そのほか、仮想化技術を適切に管理する経験が不足していることや、実装コストが高すぎる点も問題点として挙げた。
また、コスト的なメリットからオープンソースソフトウェア(OSS)の利用が拡大しているが、ネットワーク、開発系、DBMSなど基盤系やミドルウェアが中心で、ERPやCRMといった基幹業務系のアプリはほとんどなく、OSSを利用する場合でもWindowsなど他のプラットフォームの共存環境は必然となっており、相互運用性が必要であると指摘した。
吉田氏はこれらを踏まえ、仮想化のおける今後の検討課題として「管理機能と相互運用性」、「仮想化を前提としたOSとアプリのサポート体制の確立」「運用コストの明確化」の3点を挙げた。
「Linux Connector For Active Directory」
そして、ターボリナックスは、相互運用性を確保するための1つの手段として、今年の3月に発表した「Linux Connector For Active Directory」を紹介した。
この製品は、Linuxのサーバに対するWindows ServerのActive Directoryを使ったログインを可能にするほか、LinuxクライアントからのWindows Serverへのログインも可能になる。
そのほか、Active Directory上にLinux Connector For Active Directory独自の拡張領域を持ち、FirefoxやThunderbirdの設定情報、プリンタの設定情報などを保持して、ログオン時に自動設定させることも可能となっている。
対応OSはTurboLinuxのほか、CentOS 5やRed Hat EnterPrise Linux 5でも利用できる。価格は、5ライセンスのものが9万8000円、無制限のものが29万8000円となっている。