IBMフェローに任命された、日本IBM 東京基礎研究所の浅川智恵子氏 |
日本IBMは6月4日、同社の浅川智恵子氏が、IBM技術者の最高職位「IBMフェロー」に任命されたと発表した。
IBMフェローは、「継続的かつ卓越した技術実績とエンジニアリング、プログラミング、サービス、科学技術の分野に貢献した最高の技術専門家の中から任命されるIBMの技術者の最高職位」と定められる職位。全世界で20万人以上在席するIBM社員の中から毎年4~9名程度と、ごく限られた人数しか任命されず、いずれも著しく顕著な功績を収めた技術者であることから、非常に権威ある職位とされている。1963年より任命が開始され、これまでに218名が同職位を取得。うち、現役IBM社員は75名となっている。
浅川氏は、東京基礎研究所でアクセシビリティー・リサーチの研究チームを率いるIBM ディステングイッシュト エンジニア。アクセシビリティー技術発展への貢献が認められ、今回の任命となった。
浅川氏は、全盲の研究員として、障がい者の情報アクセス/コミュニケーション向上に貢献する技術の研究開発をリード。IBM社内外においてアクセシビリティーの重要性に関する啓蒙活動も推進してきた。
これまでに、視覚障がい者向けWebページ読み上げソフト「IBM Home Page Reader」や、Webページのアクセシビリティー・チェック・ツール「aDesigner」、視覚障がい者によるマルチメディア・コンテンツの利用をサポートする「aiBrowser」などを開発。昨年には、インターネット上で一般ユーザーと視覚障がいユーザーが協働してWebページのアクセシビリティーを向上させる実験プロジェクト「Social Accessibility」を立ち上げている。
また、アクセシビリティーに関する標準策定にも携わっているほか、Eclipse Foundationにおいてはアクセシビリティー向上のためのソフトウェア基盤「Accessibility Tools Framework」の開発を推進している。
なお、日本IBM社員のIBMフェローは、樹脂封止フリップチップ実装とビルドアップ配 線板を開発した塚田裕氏(1996年任命。当時野洲研究所 実装技術開発担当)、ThinkPadの開発責任者である内藤在正氏(2001年任命。当時日本IBM技術理事)に続き3人目。日本人ではそのほかに、1967年に江崎玲於奈氏(当時IBM T.J.ワトソン研究所。1973年にノーベル物理学賞受賞。現 横浜薬科大学 学長・財団法人茨城県科学技術振興財団 理事長)が、2008年に伊藤洋氏(IBMアルマデン研究所)が任命されている。