米Intelは6月4日(現地時間)、組み込み向けソフトウェアの開発で知られる米Wind Riverを買収したと発表した。1株あたり11.50ドルをキャッシュで支払い、買収総額は約8億8,400万ドルになる。これは前日3日終値に44%のプレミアを乗せた金額となる。Wind RiverはVxWorksやRT Linuxなど組み込み向けOSでは業界最大手であり、Intelが組み込み市場攻略に本腰を入れていることの表れでもある。

Intelによれば、今回の買収は同社のソフトウェア資産強化の一環だという。前述のVxWorksやRT Linux、そのほか開発ツールや関連ミドルウェアの資産はそのまま取り込まれ、Wind RiverはIntelの一部門として存続する。組織的にはソフトウェア&サービス部門に属し、同部門トップのRenee James氏の直下で製品開発を続けていくことになる。

主力だったPC市場が飽和に向かいつつあるなか、携帯電話やデジタルTVなどの消費者家電(CE)、車載システム、ネットワーク機器など、組み込み市場は急拡大を続けている。Atomプロセッサのリリースにみられるように近年のIntelはこの成長市場に力を入れつつあり、Wind River買収はARMなどのライバル陣営らとの競争を優位に進めるための強力な武器の1つになる。Wind Riverではこのほか、航空宇宙産業や軍事システム、ミッションクリティカルなシステムなど、非常に厳しい要件が求められる分野も得意としており、製品ポートフォリオ拡充に大きなメリットをもたらすことになるだろう。