環境技術やサービスを一同に展示する「2009NEW環境展」が、5月26日から29日にかけて東京ビックサイトで開催された。環境対策、資源有効利用、新エネルギー、省エネルギー、リサイクル等に関連した製品や設備、技術が多数紹介され、4日間で17万人を超える来場があったという。環境関連産業業界による企業や団体、自治体に向けたイベントであるが、家庭でも応用できる製品も見受けられたのでいくつか紹介してみたい。

「プロセービング」 - 使用感を変えずに水道料金を削減

節水節電システムのコンサルティグや省エネ関連機器の製造・販売・施工を行うアシストデータサービスのブースでは、節水システム「プロセービング」を展示していた。同商品は水道の水栓部分の内部に組み込む特殊なバルブ(流量調整弁)で、流水量を抑制することで節水を行うもの。蛇口・シャワー・トイレなど、水栓が外せるタイプであれば取り付けることができる。同社によれば、水道料金を20%以上削減できるとのこと。

穴が開いた「バルブ」を水栓の内部に組み込む

導入事例を説明したパネル

単純に流水量を減らすと水の勢いが弱まるが、同システムは増圧技術を組み合わせることにより使用感が悪くならないように工夫している。バルブには数本の細かい穴が開けられており、細かい穴を水が通過する際の水流は水道管を流れてきたときの3倍~6倍位になるという。この原理を応用して水の勢いを維持。また、節水のための減速と整流を行うため、穴に角度を付けて水同士がブレーキを掛け合う状態を作り出しているとのこと。バルブの穴の大きさと角度の研究を重ね、節水と同時に使用感を保つことに成功したとしている。

バルブの材質はステンレス(SUS303)。錆に強く、水に溶け出さないため水質を変化させることは無いという。単品で構成されているため破損の心配がほとんど無く、部品交換によるメンテナンスも不要とのこと。増圧シャワーヘッドなどを含め約50種類が用意され、水栓の直径や水道の水量、用途に応じて選択することができる。

同ブースでは、同バルブを装着しない水道蛇口と装着した蛇口を設置して使用感を比較する実演を行っていたが、手に水があたる感触には違いが感じられなかった。ホテルや学校、レストラン、デパート、病院、オフィスビルなど、水の使用量が多い施設での利用を想定した商品ではあるが、家庭でも水資源を有効に使い水道代を削減できるアイテムとして利用できそうだ。

「透明エコダスター」 - 中が見えれば分別意識も向上

積水化学工業のブースでは、グループ企業 積水テクノ成型の透明ゴミ箱「透明エコダスター」を展示。使用済みペットボトルをリサイクルしたゴミ箱で、1台の52%が再生材とのこと。再利用品でありながら高い透明性を確保し、割れにくいペットボトルの特性を受け継ぐため優れた耐久性を得られるという。フタの形状により、一般用、ビン用、カン用、ペットボトル用、ペットボトルキャップ用が用意され、容量は5種類。

上段左よりペットボトルキャップ用、ビン用、ペットボトル用、下段のピンクは一般用に紙コップシールを貼ったもの、黄色はカン用

ペットボトル用「透明エコダスター」のアップ、中がよく見える

ゴミの分別は資源リサイクルを行う上で起点となる行動であるが、分別が面倒、入れる場所が分かりにくいなど、特に不特定多数が使用するゴミ箱ではきちんと分別することが難しいものとされる。透明な同商品は中が見えるため、捨てる側の分別意識が向上して分別精度が高くなるとのこと。

同社では、他社の協力を得て食堂横の休憩室で分別回収の実験を実施。ペットボトル用、ビン用、カン用、燃えるゴミ用の4種類のゴミ箱を用意し、最初に中が見えない不透明なゴミ箱を14日間、次に透明なゴミ箱を14日間設置して異物混入率を測定したという。結果、ペットボトルは18.3%が2.4%に、ビンでは12.5%が0%に、カンでも1.4%が0%に減少したとのこと。捨てられている中身が見えることは、分別に効果があるようだ。なお、燃えるゴミはどちらも0.5%で変わらなかった。

中身が見えると、飲み残しがあるビンやカンを捨てる行為が減る可能性があり、ゴミ箱を清潔に保つ効果もありそうだ。狭い場所に置ける35リットル、45リットルの小型タイプもラインアップされる。

「炭再生紙」 - 廃棄される梅やプルーンの種を利用

製袋用関連製品や産業用包装紙の製造を行う山陽製紙は、通常産業廃棄物として処理される"梅の種"を炭化させ、紙の材料として利用する「炭再生紙」を紹介していた。炭と古紙と水を原料とした100%リサイクル紙で、消臭環境、防カビ、調湿、ホルモンの吸着といった炭の効果が得られるという。

今回、ナッツやフルーツ加工品を扱う正栄食品との協業により、"プルーンの種"を材料とした炭再生紙の展示を行っていた。正栄食品は米国に自社農園とプルーンの加工工場を持つ。種抜きのドライフルーツやペーストとして出荷するプルーンは種を取り出すが、従来種は廃棄していた。同社によればプルーンの種を炭化させたものは、竹を炭化させたものより消臭効果などが高いとのことで、介護マットを商品化しているという。今後も炭の特性を生かした製品を展開したいとしている。

右がプルーンの種、左が炭化した状態の種

プルーンの種を利用した「炭再生紙」

山陽製紙では梅の種を利用した炭再生紙として、靴用消臭ペーパー"梅クック"や30cm×200cmのロール状の"梅炭BOX"などを商品化している。ロール状の炭再生紙は、自由にカットしてタンス、クローゼット、押入れ、下駄箱、冷蔵庫の中、米びつ等での使用を勧めていた。