計測機器の大手ベンダである米Agilent Technologiesの日本法人でアジレント・テクノロジーは6月3日、同社のネットワーク・アナライザ「Agilent PNA-Xシリーズ ネットワーク・アナライザ」に13.5G/43.5G/50GHzにそれぞれ対応した新モデルを投入、即日出荷を開始したことを発表した。価格は1484万3,643円からとなっている。

43.5/50GHzモデルの正面写真(従来テスト環境に比べて、テスト機器を50%削減することが可能だという)

3モデルは、13.5GHzモデルの「Agilent N5241A」、43.5GHzモデルの「Agilent N5244A」、50GHzモデルの「Agilent N5245A」となっており、各モデルともに独自のPNA-X非線形ベクトル・ネットワーク・アナライザ(NVNA)に拡張することが可能だ。

13.5GHzモデルは、ワイヤレス通信市場向け部品測定用モデルで、テスト時間の短縮や測定システム数削減を実現することが可能。例えば、一般にローノイズ・アンプ(増幅器)の評価では、小信号での利得、整合、歪み、雑音指数など、複数の測定が必要となるが、PNA-Xでは、これらの測定機能を1台のネットワーク・アナライザに集約しており、手間を削減することができる。

一方の43.5/50GHzモデルは、レーダや衛星通信アプリケーションなどに向けたモデルで、50GHzモデルでは50GHz以上の測定が必要な場合には、測定周波数帯域ごとのミリ波システムに拡張でき、最大0.5THzまでの測定が可能となっている。

また、NVNAへの拡張により、RFからマイクロ波帯まで幅広い領域でNVNAの利点を活用できるようなり、この測定結果を活用することで、非線形デバイスの特性を詳細に把握することができるようになる。

さらに、NVNAを使って取得したXパラメータを、同社のEDAソフトウェア「Agilent アドバンスト・デザイン・システム(ADS)」で使用することで、線形および非線形部品のふるまいをシミュレーションすることができるようにもなる。

第2信号源を内蔵したの2ポート ネットワーク・アナライザで、+16 dBmの出力、60 dBcのハーモニック、40 dBの掃引幅を実現しているほか、一般的なSパラメータに加え、パルスドSパラメータ、二信号IMD、高速高確度利得圧縮測定、ベクトルまたはスカラ校正による高確度ミキサ測定オプションなどが用意されている。

このほか、内蔵信号経路切り替えスイッチにより、ネットワーク・アナライザだけでは対応できない項目を測定する場合でも、内蔵スイッチを使い、ネットワーク・アナライザに接続した信号発生器などに切り替えることで、被測定物をつなぎかえずに測定を行うことができるほか、パルス発生器およびパルス変調器を内蔵していることから、簡単にパルス測定を行うことができ、これらの機器を外付けする場合と比べて、最大で30倍高速にパルス測定を行うことができるという。