6月2日、総務省は「情報通信分野におけるエコロジー対応に関する研究会」報告書を公表したが、その中では携帯電話のリサイクルに言及している。
情報家電における貴金属やレアメタル(希少金属)の含有率を製品分野別に比較すると、金や銀では携帯電話は携帯音楽プレーヤーに次いで高く、パラジウム/ビスマス/セレンでは群を抜いて高い。
携帯電話は、家電製品などからレアメタルを回収できる「都市鉱山」の代表格と見なされるが、実際に回収されるのは少量の金・銀・銅のため、現時点では採算性の維持は難しいという。またタングステンなどのレアメタルの回収は技術的には可能としながらも、含有量の微少さに対して細かな作業工程や採集エネルギーを多く必要とするため、採算面から回収はほとんど進んでいないと報告書は現状を指摘する。
一方、家電製品などのライフサイクルにおけるCO2排出量を見ると、携帯電話は材料調達段階がCO2排出比率の約96%を占め、他の家電製品等と比べて使用期間が短いこと、また材料の海外での発掘・輸送・精錬などで発生する環境負荷の割合が大きいことが理由として考えられ、携帯電話の再利用・再資源化を推進することで効率よくCO2の排出を抑制できるとみている。
ユーザーの意識に目を転じると、携帯電話の買い替え・解約にともない旧機種を処分しない理由では、「コレクション・思い出として残す」が最も多く、その理由は、写真やメール、着メロ・着うたなど本体に保存した情報やコンテンツを残しておきたいという要望が多いため、データやコンテンツ移行の円滑化が進めば、協力するユーザーが増える可能性が考えられるという。
この結果を受け、同省は携帯電話リサイクルに関して以下の目標を挙げている。
・一般ユーザーの携帯電話リサイクル活動の認知度を、2012年度までに70%に引き上げる
・回収した端末から採取できる金属等のリサイクル効率を、現在の60%から2012年度までに70%まで引き上げる
・事業者全体での回収率の自主目標を、当面30%と定める
これらの目標達成のため、周知・啓発活動の推進、個人情報漏洩対策の徹底、回収拠点の拡大など、データの移行の円滑化、加入者などへのインセンティブの付与といった施策を進めていく予定だ。