HDEは5月28日、自社開発のサーバ仮想化ソフトウェア「Karesansui」をオープンソースソフトウェア(OSS)として無償公開することを発表した。合わせて、同ソフトの開発を推進するコミュニティ「Karesansui Project」を立ち上げ、支援を開始する。

同ソフトはハイパーバイザーとして、オープンソースのXenをサポートしている。Webベースの管理画面から、ゲストOSの起動・停止・シャットダウン・管理が行え、ホストは複数管理可能。また、インストールもGUIから5ステップで行える。代表取締役の小椋 一宏氏は、「これまでサーバの仮想化を行ったことがない人でも使えるよう、操作性を追求している。仮想サーバの管理ソフトはすでに市場にいくつもあるが、すべての作業をWebベースで行えるツールはほかにない」と語る。

加えて、スナップショット機能が標準で装備されているので専用のソフトウェアが不要であり、同ソフトだけでバックアップ・リカバリが行え、仮想サーバの管理に必要な機能が一とおりそろっている。

開発者に対する訴求ポイントとしては拡張性が挙げられる。言語にはPythonが用いられているほか、RESTfulアーキテクチャが採用されている。同ソフトはGPLライセンスとLPGLライセンスの2つのライセンスで提供され、ソースコードの部分は利用成約の少ないLPGLが適用される。

同ソフトのOSSらしさとも言えるのがアイコンのイラストだ。企業向け商用製品で、カエルの着ぐるみを着た女の子のイラストを採用するのはなかなか難しい(カエルは同ソフトのトレードマーク)。

開発はKaresansui Projectによって進められ、年内に、サービスステータス機能や自動アップデート機能などを追加した「version 1.1」をリリースする予定だという。

小椋氏は、同ソフトをOSSで提供する理由について、「当社はサーバ管理製品として、『HDE COntroller』と『HDE Center』を提供している。Karesansuiをサーバ管理製品のラインアップに加えることで、製品の幅を広げるとともに、知名度を上げていきたい。また、Karesansuiは初めから英語版を用意しており、日本発の仮想化製品として海外市場への進出も視野に入れている」と説明する。

動作環境は、OSがCentOS 5.3以降、データベースがSQLite、MySQL、PostgreSQLなど、WebブラウザがFirefox 3、Safari(Mac)、Opera、Google Chlomeとなっている。

Karesansuiのインストール画面(左)と管理画面(右)