シトリックス・システムズ・ジャパンは、今年の3月に新社長に就任したマイケル キング氏による事業戦略説明会を開催した。
キング氏は冒頭、「現在は、これまで利用してきた分散型モデルが崩壊に向かっている。分散型モデルは変化への対応が弱いという弱点があり、管理する上でも多額の費用がかかる。この対極にあるのが一元化であり、われわれは最適化、仮想化、一元化によって、コンピューティングを簡便化し、オンデマンドベースでどこからでも、どのようなデバイスからでもアクセスできる環境を提供する」と述べた
日本市場においては現在、1万6000社、100万ライセンスのユーザーがいるが、キング氏は日本市場に対して「お客様の価値を高めることはすべてやっていき、シトリックスが戦略的な存在と認知してもらうことが、私のビジョンだ。それはシトリックスが現在持っているテクノロジーで実現することができる。我々はパートナーと共同でユーザーに最新のテクノロジを利用して充実したインフラを築いていきたい」と語った。
市場戦略では、ハイタッチ営業で大口案件の獲得を狙う一方で、今後中小企業の市場にも注力し、新たな製品も投入していくという。
また、パートナー施策も強化し、「Technical Readiness Team」を立ち上げ、シトリックの認証プログラムを運営していくほか、戦略パートナーの関係を強化し、マイクロソフトとは、XenDesktop+VDI、XenApp+Terminal Server、XenServer+Hyper-V、HPとは、XenDesktop+HP bc2200 Blade PC、HP bc2800 Blade pcバンドル、インテルとはXenClient、日立とはXenDesktop+Client Blade「FLORA bd500」のアライアンスを推進していくという。
そのほか、今後はコンシューマ寄りの方向性も強化し、iTunesやケーブルテレビのようにユーザーが好みに応じて自分でサービスを選択し、それに応じた料金を支払うというシステムに対応する製品を提供していくという。
その具体的な製品が先日発表された「Citrix Receiver」だ。これは、クライアント向けの無償ソフトで、Citrix XenApp、Citrix XenDesktopなどで提供される仮想デスクトップやアプリケーションへアクセスが可能になる。現状、Windows PC、iPod用があり、今後Mac、Windows Mobile、Symbian OS向けのソフトがリリースされる予定になっている。
3月で取締役会長になった前社長の大古俊輔氏は「最近はROIが話題になっているが、管理コストをより複雑にしているのは、アプリケーション、ソフト、ハードウェアのライフサイクルが異なることだ。Windows NTは8年間にわたって提供されたが、ユーザーの中には開発したプリケーションを10年くらい、中には15年くらい使いたいというユーザーもいる。そうなると、Windows NTに対応したハードウェアが世の中からなくなってしまう。仮想化は、ハードウェアからの制約から解き放つという意味でも期待されている。我々が提唱している『Simplicity』というはシステムの複雑性を排除することで、ハードウェアやデバイスに対する依存性を排除していくことが弊社の狙いだ」と語った。