アクシスコミュニケーションズは5月27日、ネットワークカメラの新モデルのほかビデオエンコーダなどを含む新製品8機種を発表した。スウェーデンに本社を置く同社は、今年4月にポリコム出身の奥田智己氏が代表取締役社長に就任、国内での体制を一新し、ブランド認知と販売強化を狙っていく。今回の新製品は、本年度にリリースを予定している30機種の一部で、製品の大量投入により、いまだ「アナログが8割を占める」(Axis Communications AB社長兼CEO レイ・モーリッソン氏)という監視カメラ市場のデジタル化促進も図りたいとしている。

「ネットワークカメラ市場での我が社のシェアは30%以上でトップ。市場全体としては5倍以上の伸びが期待できる」と語るAxis Communications AB 社長兼CEO レイ・モーリッソン氏

「顧客のさまざまな要望に柔軟性をもって応えられるよう、パートナーと一緒に取り組んでいきたい」とするアクシスコミュニケーションズ 代表取締役社長 奥田智己氏

今回発表された新製品は以下の通り。

固定ドームカメラ「P33」シリーズ6機種

アクシスコミュニケーションズ 技術コンサルティング部 部長 落合大氏

新シリーズとして6機種を投入。SVGA解像度の「P3343」モデルと、1Mピクセル/HDTV 720p対応の「P3344」モデルがあり、固定カメラでは難しい遠隔焦点あわせや遠隔ズームが可能になっている。遠隔からでも顔を判別できるピクセルカウンタ機能や、日中はカラーで、夜間は赤外線による鮮明な白黒画像を提供するデイナイト機能をあわせもつ。

P3343/P3344ともに、ケーシングにより「屋内モデル」「屋内モデル耐衝撃性能ケーシング」「屋外モデル耐衝撃性能ケーシング」の3種類を揃えているが、これは「さまざまな環境(破壊行為、過酷な温度条件)に対応できるようにするため」(アクシスコミュニケーションズ 技術コンサルティング部 部長 落合大氏)で、どんな過酷な状況下でも動作できるような設計が凝らされている。

左が新製品の屋内モデル(P3343、P3344、P3343V、P3344V)、右が屋外モデル(P3343VE、P3344VE)。モデル名に付けられた"V"は"vandal(破壊者)からの防御"を意味しているという。内蔵レンズヒーター、ケーブルシーリング、防湿薄膜などを備え、動作環境温度はマイナス40度から55度まで。IP66レベルの対人耐塵防滴性能を誇る

ビデオエンコーダ「Q7404」

4台のアナログCCTVカメラを接続できるスタンドアロン型ビデオエンコーダ。各チャンネルごとにH.264とMotion JPEG圧縮に対応。解像度はD1(720×480 NTSC)までで、すべてのチャンネルでフルフレームレートに対応。

監視向けに最適化機能が図られており、チャンネルごとのパンチルトズーム信号(PTZ)の制御が可能になっているほか、イベント管理機能(いたずら検知、音声検知などのインテリジェント機能)や双方向音声(1チャンネルのみ)をサポートしている。

固定ドームネットワークカメラ「M3014」

天井設置型の小型軽量な固定ドームネットワークカメラ。設置後の突起部はわずか3cmだが、カメラユニットの解像度は1Mピクセル、HDTV 720p。電源供給はPoE(Power over Ethernet)のみ。カメラの存在を感じさせたくない場所(ショッピングモール、百貨店など)での導入を見込む。

デジタル化で得られる顧客のベネフィットを訴えていく - 奥田社長

アクシスコミュニケーションズの奥田社長は「ビデオ監視システム市場は現在、アナログカメラが8割を占めているが、今後は徐々にデジタル化に向かうのは明らか。この市場は今こそがチャンス」と語り、同社の販売体制の強化を進めていく予定だ。「アクシスコミュニケーションズの販売モデルは100%パートナー経由だが、今後はパートナーに対し、より情報と教育の機会を提供することに務めたい」とし、セミナーの開催やデモ機の貸し出しなども積極的に行っていくという。「デジタルネットワークカメラは、実際に触れてみればその良さが必ず顧客に伝わる。今後はその良さを伝える機会を積極的に増やしていきたい」と語る。

また「ADP(アプリケーション開発パートナー)」と呼ばれる、アクシスの製品にさまざまなアプリケーションをインテグレーションして販売するパートナーとの連携も強化していきたいとしており、スウェーデンの本社と連携をとりながら、自社のシェア拡大と共に、ネットワークカメラ市場全体の拡大を図っていく構えだ。

今回発表された新製品の販売価格は6月下旬に決定、出荷は8月に開始される予定となっている。