米Yahoo!はWhere 2.0で、Webコンテンツに位置情報を付与するWebサービス『Placemaker』(Beta)を発表した。

Placemakerは、Webページ、ブログ、ニュース、写真のキャプション、ステータス・アップデートなど構造化されていないコンテンツを受け取り、それらに含まれるテキストを解析してロケーションを抽出した上で、その位置のメタデータを生成して返す。無料で利用できるオープンAPIだ。

Placemakerで採用されている地理情報の識別子「WOE(Where On Earth) ID」は、大陸、国、地方・地域、郡、市・区、町の6レベルに分類されている。Placemakerが受け取ったコンテンツに複数のロケーションが含まれている場合、例えばサンフランシスコとロサンゼルスならば、どちらも当てはまるレベルの「カリフォルニア州」と判断される。サンフランシスコと、その近くにあるサクラメントだと、より狭い「北カリフォルニア」に絞り込まれる。Placemakerは単純にテキストに含まれるロケーションの共通レベルを割り当てるだけではなく、テキストがどのロケーションに関する内容なのかを判断する能力も持つ。高い分析力がPlacemakerの特長であるという。

各種Webコンテンツからロケーションを抽出、位置情報のメタデータを返す

Placemaker提供の狙いについて、Yahoo!でジオプロダクト・グループを率いるTyler Bell氏は「Web 1.0が"ドキュメントのつながり"だとすると、Web 2.0は"人々のつながり"であり、その次に来るWeb xは"世界のつながり"になる」と切り出した。さらに「われわれはロケーションからセマンティックWebの世界が実現すると考えている」と続けた。今日のロケーション利用はWeb 2.0的に人の位置をベースにしたものが主流だが、将来のWebサービスではあらゆるコンテンツでロケーションが問われるというのがYahoo!の見方だ。Placemakerを通じてサードパーティ開発者によるロケーションを活用したアプリケーションやデータセットの作成を支援することで、"Web of the World"の実現をけん引する役割を担おうとしている。

同社はまた、Placemakerやオンライン位置情報プラットフォーム「GeoPlanet」で採用している地理データ「GeoPlanet Data」をCreative Commons-Attributeライセンスで公開した。同データには、複数の言語による地名、WOEID、位置同士の関係などのデータが含まれる。

およそ1年前にWebサービスに含む形で提供し始めたWOEIDが公開したことで、Yahoo!が既存のオープンソリューションに対抗する体制が整った。またロケーションとの組み合わせでコンテンツの価値を引き上げるPlacmakerは位置情報の活用に関心を持つ開発者の関心を呼び起こすだろう。この相乗効果に対するWeb開発者の反応は、Y! OS(Yahoo! Open Strategy)の今後を占う材料にもなりそうだ。