社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)の町田勝彦会長(シャープ会長兼CEO)は、5月26日、記者会見を行い、2009年度事業計画などについて説明した。
同日行われた第43回通常総会において、町田氏の会長再任を決議するとともに、役員人事、事業計画などを決定した。
2009年度の重点課題としては、ビジネス機械・情報システム産業の中長期的発展に向けた取り組みとして「エコ・オフィス構想の検討」「電子ペーパーの国際標準化活動」などを、高度循環型社会構築に向けた先進的取り組みとしては「省エネをはじめ、製品の環境配慮設計の推進」や「3Rの推進」、製品安全問題などへの適切な対応としては「製品安全などに関する規格作成への参画」などに取り組む。
また、標準化戦略の着実な実施では「情報アクセシビリティ規格に関する標準化活動の推進」など、国際協力・国際交流などへの取り組みとしては「EUにおけるMFP関税に関する通商問題への対応、「プロジェクターの中国関税問題」「中国アジアとの交流推進」などを、知的財産保護、調査統計、広報などの活動の充実強化では、「知的財産に関する調査の推進と模倣品対策の強化」などを掲げた。
そのほか、ネットワークに接続する複合機、プリンタの共通インタフェースであるBMLinkSについて認証ツールの開発を継続するとともに、BMLinkSの応用と拡大に関連したプロモーション活動の推進および新仕様標準領域の可能性を検討する。
そして、PJLinkについては、IT機器およびプロジェクターの利用状況調査をモデル校を選定して実施し、ホームページに掲載することで普及・啓蒙活動を行う。
町田会長は、「昨年秋からの世界同時不況のBtoBを中心とする事務機業界への影響は極めて大きい。月を追うごとに良くはなっているが、通期では前年実績をクリアするところまでは期待できない。BtoBは、企業の業績が回復してから需要回復が見込める市場であり、個人需要に比べて3か月程度のタイムラグがある。早くても、来年初め、あるいは次年度ということになるだろう。だが、そのなかで回復に向けた準備をしていくことが必要」などとした。
そして、「電子自治体や電子政府などにおいて、当業界の活動が貢献できるだろう。また、スクールニューディール政策と言われるように、教育分野への電子黒板の導入など、ICT化の促進も期待できる。一般消費者が対象となるエコポイントなどの派手さはないが、地道な活動のなかで需要を盛り上げていく」と語った。
さらに、エコ・オフィスについては、構想の具体化に向けた取り組みを開始。オフィスにおけるCO2排出量の削減や、一層の省エネ促進に向けて、関連する政策の研究や技術調査、有識者や関連団体との意見交換、グリーンIT推進協議会との連携、事務機業界ならではの視点で全体的かつ先見性のある意見発信を行っていくとした。
町田会長は、「仕事の仕方を変えて、エネルギー消費を削減したり、CO2排出量を削減することができる。これまでテレビ会議システムは普及しなかったが、通信速度が向上し、海外と結んで利用できるようになってきた。効率的なビジネススタイルに変わることで、新たな需要が生まれる」などと期待を述べた。
当日正午から開催された懇親会では、経済産業省商務情報政策局長の近藤賢二氏が来賓として挨拶。「経済環境は厳しいが、それでも一部の調査ではプラスになるものも出てきた。街角の景気動向調査では、4カ月連続でプラスになるとの見通しが出ており、底を打つという動きが感じられている。経済は今年後半から上向いていく。いまが一番苦しい時期。歯を食いしばってがんばってもらいたい」などとした。
また、乾杯の音頭をとったJBMIA副会長の鈴木護氏(東芝テック社長)は、「不況に強いと言われた事務機業界だが、その影響を受けている。他の業界よりもひと足早く回復できるように努力していきたい」とした。