FreeBSD - The Power To Serve

FreeBSD安定版にZFS version 13がマージされた。すでに移植されていたZFS version 6からのバージョンアップとなる。ZFS version 13は開発版ブランチにはすでに取り込まれており、OpenSolarisからの移植という形をとっている。FreeBSD ZFSはZFSのバージョンアップとFreeBSD対応の強化の双方の実現が特徴。多くの変更が施されているが、ユーザから気がつきやすい主な変更点は次のとおり。

  • すべてのプールタイプに対してZFSブートをサポート
  • システム作成、スナップショット作成などの操作が一般ユーザからも可能になるように実装
  • 追加ディスクをキャッシュとして扱えるようになるレベル2キャッシュのサポート。ランダムリードやスタティックコンテンツで大幅なパフォーマンス改善が可能
  • 追加ディスクをZFSインテントログとして使える機能をサポート。fsync(2)などの操作で処理速度の向上が可能
  • 一般ユーザに特権操作を許可するためのsysctl(8)値 vfs.zfs.super_owner の導入
  • スパースボリュームのサポート
  • 外部属性に対応
  • まだすべては実装されていないがchflags(2)対応コードの追加
  • まだすべては実装されていないがNFSv4-ACLsに対応

ZFSブートの対応コードが取り込まれた点がとくに注目される。ZFS version 6対応の段階ではZFSブート対応コードは取り込まれていなかったため、ブートパーティションをZFSにするにはパッチを取り込む必要があった。インストール時にブートパーティションをZFSにするにはインストーラの対応が必要になるが、対応するためのバックグラウンドは整ったことになる。

FreeBSD 8.0のリリースが2009年8月末に予定されており、8.0の出来次第で7系をどのバージョンまで出すか変わってくる。順当にいけばFreeBSD 7.3まではリリースがおこなわれる予定だが、8.0の出来が思っていた以上に優れているということになれば、そのまま8系を安定版とする可能性もある。

安定版に取り込まれたZFSもFreeBSDでは依然として実験的な実装と位置づけられている。開発版においても同様。FreeBSD 8.0で"実験的"という言葉が削除されるか"プロダクションレベル"という言葉に変更されるかは今後の安定性次第。実験的位置づけとされているが柔軟なストレージ管理と高性能な機能からZFSを採用する事例が増えており、ZFSのプロダクションレベルへ向けた要望が高まっている。