SAS Institute Japanは5月25日、クレジット事業を展開する企業向けに「統合与信管理ソリューション」の提供を開始したと発表した。同ソリューションは、リアルタイムでの初期審査、機動的な途上与信管理、回収業務効率の最適化、これらを統合管理する機能を提供する。
執行役員 ビジネス開発本部部長兼プロフェッショナルサービス本部長を務める宮田靖氏は、「クレジット事業は上限金利の引き下げ、総量規制の導入、不況によるカードショッピングの伸び悩みなど、厳しい環境下にある。こうした状況を打開するには、攻めと守りの策を打つ必要がある」と語り、今回発表したソリューションではクレジット業界の企業が打つべき攻めと守りの策が融合されているとした。
同製品の主要機能は「初期与信」、「途上与信」、「回収管理」、「統合管理」の4つだ。従来のシステムでは、与信と回収のシステムはハードウェアやアプリケーションがバラバラであり、「これらの業務を連携させて統合できるシステムはほかにはない」(宮田氏)という。
また同氏によると、従来のシステムにおいて与信のルールはメインフレーム上でプログラミング言語を用いて作成されるが、同ソリューションではエンドユーザーが自身の手で行えるようになるため、柔軟な運用とコスト削減を実現する。
初期与信では審査のリアルタイム化と自動化が実現される。その際使われる判定ルールの構築・回収・実装、スコアリングの構築など、ユーザーによって行うことができる。
途上与信では、スコア算出・与信枠のルール改定・シミュレーション・最適枠の割付が行える。初期与信と同様、与信モデル・ルールはユーザーが作成することができる。与信ルールはカード保有者の利用動向に応じて自動的に適用・変更して、顧客全体からの利益を最大化することが可能だ。
回収管理では、回収金額を最大化できる最適な回収先を特定し、顧客ごとに最も回収効率の高いチャネルを割り振って回収に要するコストを削減する。
統合管理では、初期審査・途上審査・督促・回収の各業務のパフォーマンスを統合して可視化を行うほか、業績改善による効果のシミュレーションを可能にする。
同ソリューションは、同社のコンサルティングによって培われたノウハウに基づいて、同社が現在提供している製品を連携させた形で提供される。「SAS Enterprise BI Server」を基盤に、与信と回収におけるスコアの算出は「SAS Credit Scoring」が、初期与信の戦略策定は「SAS Real-Time Decision Manager 」が、途上与信の戦略策定は「SAS CI Studio」が、回収管理の戦略策定は「SAS Marketing Optimization」が行う。各製品はグローバルで提供されているが、同ソリューションは国内独自のものとなる。
価格はアプリケーションにコンサルティング料金を合わせたものとなるため、個別見積りとなるが、アプリケーションの参考価格は約2,000万円とのこと。