Microsoftが開発中の「Windows 7」はデバイスの機能を最大限に活用できるように設計されている。アプリケーション開発者は用意されたAPIを通じて、各種センサー(GPS、アクセラメータ、光センサー、温度センサー、ソフトウエア・センサーなど)からのデータを活用したアプリケーションを簡単に構築できる。Where 2.0では、位置情報を扱うロケーションAPIにスポットライトを当てたWindows 7のデモが披露された。
Windows 7でロケーションを管理する場となるのはDefault Locationだ。PCがGPSのような位置情報を取得するセンサーを備えていない場合、Default Locationでマニュアル設定できる。位置情報はOS全体とロケーションAPIにアクセスする全てのアプリケーションに反映される。デモを担当したMicrosoftのプログラムマネージャーのAlec Berntson氏がロケーションをWhere 2.0会場のサンノゼからサンフランシスコに変更すると、天気ガジェットのデータが自動的にサンフランシスコの予報に更新され、壁紙が草原からゴールデンゲートブリッジに変わった。
次にBerntson氏は夕食のためのレストランを検索した。ロケーションAPIにアクセスするPlacesというローカル情報ガジェットでは、目的(カフェ、レストラン)にチェックを入れて[OK]をクリックするだけ。ブラウザを起ち上げてローカル検索サービスにアクセスすることなく、会場近くのレストランをリストアップして見せた。
ガジェットだけではない。Webブラウザでも同様に、Web標準のジオロケーションAPIをサポートするInternet Explorer(IE)のプロトタイプを使って、場所を指定せずに現在地をベースにしたローカル検索を実行して見せた。
ロケーション・サービスで重要になるのはプライバシー問題対策である。どのセンサーが動作中で、どのようなデータを取得し、それらがどのように使用・公開されているかをユーザーが完全に把握していないと、意図しない個人情報の漏洩につながってしまう。
IEでロケーションを利用しようとすると、プログラムのダウンロード時と同じような警告ダイアログが現れてロケーション公開の設定をユーザーに促す。共有を最小限にとどめたい場合は、1セッション限りや地域レベルのロケーション共有などを選択できる。
センサーについても、ハードウエアを導入したら自動的に有効になるのではなく、そのセンサーがプライバシーにどのように影響するかを確認した上で、ユーザー自身が有効/無効を選択でき、さらにコントロールパネルを通じて利用中のセンサーをひと目で確認できる。ダイアログやコントロールパネルを通じて、オプトイン(ユーザーが利用を許可)形式が徹底している。
デモでは、モバイルブロードバンドにオプション対応するDellの薄型ノートPC「Adamo」を使用していた。Windows 7はVistaを動かすには非力なミニノートやネットブックにも対応する。効率的な動作にユーザーの期待が集まっているが、同時に"センサーとロケーション"のようなモバイルPCの可能性を広げるプラットフォームでもある。近年のネットブックのヒットはPC業界に新たなカテゴリをもたらしたものの、Windows XPを延命させる後ろ向きなブームと呼べるものだった。Windows 7の登場によってモバイルPCは、ハードウエア/ ソフトウエア/ オンラインサービスがこれまでにない形で連携する前向きな進化に踏み出せる。