沖電気工業(OKI)は5月25日、光ネットワークにおける光信号と電気信号を相互に変換するインタフェースモジュールの小型化と生産性の向上を実現する小型送受信光回路技術の開発に成功したことを発表した。
同回路では、シリコンフォトニクス技術を採用し、シリコン細線光導波路で構成した光波長合分波器と光スポットサイズ変換器などをシリコンチップ上に一体形成し、さらに送信光源である半導体レーザおよび受信受光器であるフォトダイオードを1つのチップ上に集積化した。これにより、従来の石英光導波路に比べ、光の経路を鋭く曲げることが可能となり(石英光導波路の約1/1000となる最小曲率半径5μm)、小さな面積に光導波路を配置てきるようになり、光波長合分波器などの光回路の小型化が可能となった。
また、商用のSOI基板を利用し、すでに確立しているシリコン集積回路製造技術を適用して光回路を形成、素子の位置を1μm以下の精度で制御できることを確認。これにより、従来のハイブリッド型光モジュールと比較して、高生産性と低コスト化が可能となり、従来の光モジュールに比べ1/20に小型化が可能で、必要な部品数も削減可能となった。なお、今回、本技術を利用して開発した回路は2mm×3mmのチップ上への集積を実現している。
さらに、光波長合分波器の独自の設計により、シリコン細線光導波路で受信光に対する偏波無依存動作を実現し、光回路構成の単純化を可能とした。今回開発された光送受信回路は、PON用ONU0に対応して送信波長は1.31μm、受信波長は1.49μmで、送受信光を同一の光ファイバで入出力する一芯双方向の光送受信回路。これにより従来卓上の機器として提供されていたPON用ONUなども、コネクタ内蔵もしくはパソコンなどの端末機器への内蔵が可能となるという。
同社では、今後、さらに技術開発を進めることで、光送受信回路を組み込んだ光トランシーバの開発により、PON用の小型ONUの商品化や、ネットワーク機器内の光インタフェースおよび情報家電組み込み用光インタフェースなどへの製品展開を進めていくとしている。